J-REIT、分配重視型が人気 投信部門マネー大賞
震災復興で日本経済も本格回復……と思いきや、尖閣諸島問題によって中国での日本製品の売れ行きが大幅ダウンするなど、想定外の波乱で急ブレーキがかかった2012年。そのため、株価指数はボックス圏を抜け出せなかったが、たとえ相場全体はパッとしなくても、個別には爆騰ぶりや高利回りで投資家を魅了した銘柄がひそかにある。また、他のマネー商品でもしかり。そんな好成績のマネー商品を表彰してみた!


総評 市場環境の好転でJ-REITで運用するファンドが大いに躍進

まず、騰落率のランキングではJ-REIT(日本版不動産投信)を投資対象のファンドがベスト5を独占。これらは特に売れ筋ではないものの、とにかく運用成績が好調でした。金融緩和の一環で日本銀行はJ-REITを購入中で、その枠の拡大に期待が集まったのが要因です。また、ほかに有望な投資先が見当たらず、消去法的にJ-REITが買われた側面もあるでしょう。

続いて利回りによるランキングでは、依然として通貨選択型が上位に入っています。そして、1位は新興国債券が投資対象ですが、上位5本中3本はハイイールド債券で運用しています。なお、残る2本は米国のREITを組み入れています。

一方、最近の人気の傾向が浮き彫りになる純流入額ランキングでは、野村アセットマネジメントの「プレミアムファンド」シリーズが上位5本のうち2本を占めていました。カバードコールと呼ばれるオプション取引を用いることで高分配を追求する商品。最近、多くの運用会社は利回り偏重を改めて、トータルリターン重視の姿勢に軌道修正しつつあります。しかしながら、こうした分配重視タイプの商品も根強い人気です。

2013年にブームが来そうな投信って?
かつて「仕組み預金」と呼ばれる特殊なマネー商品が盛んに販売され、2012〜2013年に大量に満期を迎えます。その受け皿として単位型投信の設定が今後も続きそう。
一方、景気減速で新興国株式ファンドは人気が急低下しましたが、高水準の騰落率を保っている商品もあり、目ざとい投資家がひそかに注目するかも?


2013年はイケそう?
基準価額が東証REIT指数に連動する仕組みになっているファンドで、今後もJ-REIT市場で上昇トレンドが持続すれば、さらなる騰落率の上昇も期待できる。ただし、短期的にはJ-REIT市場で利益確定売りなどが出て反落するリスクも。


2013年はイケそう?
ユーロ建ての高利回り社債(ハイ・イールド債券)を投資対象として、このコ−スはブラジルレアル高も享受できる仕組み。ブラジルレアルは値動きが大きいのと、欧州に関する信用リスクには要注意。




単位型はスポット型とも呼ばれ、いつでも購入・解約できる一般的なファンド(オープン型)とは違って、募集期間が限定されており、その期限が過ぎると購入できません。つまり、期間限定販売のファンドなのですが、大手投信運用会社を中心にこのタイプの設定が相次ぎ、投資家にも好評で売れに売れています。

前述したように、すでに募集期間が過ぎた既存のファンドは残念ながら今からの購入は不可能です。もっとも、売れ行きが好調であることに運用会社や販売会社が気をよくして、シリーズ化されて類似のファンドが新たに設定されるケースも出てきそうです。すでに設定された単位型の中で気になる商品を見つけた人は、次のシリーズが出るのを待って、日ごろから運用会社や販売会社のホームページなどをチェックしておきましょう。


2013年はイケそう?
カバードコールと呼ばれるオプション取引を用い、市場環境が芳しくない局面でも高分配を確保できるように設計された投信。「プレミアムファンド」の名称でシリーズ化され、いずれも大ヒットした。今後も人気は持続しそう。

篠田尚子(SHOKO SHINODA)
リッパー・ジャパン

慶応義塾大学法学部卒業。リッパー・ジャパンに所属するファンドアナリスト。情報量の多さと分析の鋭さに定評がある。



この記事は「WEBネットマネー2013年2月号」に掲載されたものです。