地方銀行編

業界トレンドNEWS Vol.159

地方銀行編

地方銀行でも進む海外進出。その理由をチェック!


■成長分野への融資強化で金利競争からの脱却を模索中。「中小企業金融円滑化法」終了の影響に注目を

地方銀行とは、特定の地域を中心に営業活動を行う銀行のこと。社団法人地方銀行協会に加盟する64行と、旧相互銀行から普通銀行に転換し、社団法人第二地方銀行協会に加盟している42行(いわゆる第二地銀)からなる。横浜銀行、福岡銀行、千葉銀行など、地域内で大きなシェアを誇る銀行も少なくない。

地方銀行協会加盟64行の2012年3月末における総貸出金残高は、対前年比で2.2パーセント増となる157兆1451億円。また、第二地方銀行協会加盟42行の12年3月期における総貸出額は、対前年比で1.8パーセント増の44兆6644億円だった。貸出額が増えた要因の一つは、地方公共団体向け貸出金が順調に伸びていること。近年、地方自治体の中には国からの借金を返済し、利率の低い銀行融資に借り換える動きを積極的に進めているのだ。また、住宅ローンなどの個人向け貸出金も拡大傾向にある。

ただし、住宅ローンの分野は銀行間の金利競争が激しい。メガバンクなどが低金利で攻勢を強めているし、将来はゆうちょ銀行が参入してさらに競争が激化する可能性も考えられるだろう。また、地方経済が伸び悩んでいるため、企業向けの資金需要も頭打ちの状態が続いている。そのため多くの地方銀行では、貸出金は増えても利益(利ざや)は減っている状況だ。12年3月期における地方銀行協会加盟64行の「コア業務純益」(本業から得られる利益)は、対前年比で3.2パーセント減。不良債権処理が進んで信用コストが減ったため、経常利益は増益となった地方銀行が多いが、本業での利益は決して伸びていないのである。

こうした中、各地方銀行は成長分野への融資を強化し、既存のパイを金利競争で奪い合う状況からの脱却を目指している。中でも、12年7月から「固定価格買い取り制度」が始まった再生可能エネルギー分野は有力。地価が安くて日照時間の長い地域にメガソーラー(出力の大きな太陽光発電施設)などを建設するケースが増えており、各行は融資拡大に積極的だ。例えば、伊予銀行ではメガソーラーの建設などに利用できる「環境配慮型私募債」の引き受けを拡大し、前年を大きく上回るペースでこの分野での融資額を伸ばしている。また、地方企業の海外進出を支援して利益拡大を目指す銀行も多い。各行は、海外事務所・駐在員の拡充、海外銀行との提携拡大などを積極的に進めている。特に、インドネシア・タイ・ベトナムといった東南アジアでの提携が活発だ(下表参照)。

中小企業などの債務返済を一定期間猶予する「中小企業金融円滑化法」が13年3月に終わるが、この影響にもぜひ注目したい。経営再建が進まない企業が倒産に追い込まれると、銀行にとって不良債権が膨らむ危険があるからだ。そこで各行は、引当金を積み増すなどして対応。また、企業への経営改善計画策定支援を行ったり、中小企業向けファンドを新設したりするなど、成長力のある企業を支える策も打ち出している。