長嶋有氏が、こう評する自著『佐渡の三人』。同作のテーマは"納骨"です。「こんなかたいテーマなのに脱力していていいのか?」とついつい心配してしまいますが、そこは芥川賞作家にして大江健三郎作家、「仕方ないのが家族です。」といった帯のコピーにあるように、主人公が自分の家族を客観的に見ていて、おかしみ溢れるものに仕上がっています。

 登場するのは、物書きの「私」をはじめ、祖父母の家に住むひきこもりで長髪の弟、そして、小道具屋の父。弟は意外と常識があり、父はマイペース。祖父母の家の隣に住んでいた親戚の「おばちゃん」が亡くなり、そのおばちゃんの夫である大叔父の代わりにお骨を納骨するため、三人は佐渡に向かうことになりました。バラバラな個性を持つ三人での家族旅行は、「家族臭」たっぷりの珍道中に......。

 のっけから脱力感たっぷりの同書。弟が大叔父にお骨を受け取りにいくと、なんと、ユニクロの袋に入っていたのです。緊張と緩和。笑ってはいけない「人の死」をテーマにしながらも、長嶋氏は笑いの罠を仕掛けてきます。それが、どれも上品と下品の真ん中くらいでちょうど良く、「家族ってこういうものだ」と、納得させられるものばかり。

 ある意味、"幸せな家族"が描かれた同作、「脱力してみえますが、実は最高傑作!」と言われても、納得ができます。



『佐渡の三人』
 著者:長嶋 有
 出版社:講談社
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