「サイボーグ009」を現代に蘇らせた二人! 神山健治監督と小野寺丈

写真拡大

 映画『009 RE:CYBORG』公開記念トークショーが25日、新宿バルト9で行われ、原作者である石ノ森章太郎さんの遺稿と構想ノートを基にした小説シリーズの著者・小野寺丈と、神山健治監督が登壇した。

 昨年10月27日に初日を迎えてから、約3か月にわたるロングランとなった本作だが、本日をもってバルト9での上映が終了。関連イベントも今回で通算9回目を数えたが、劇場はほぼ満員。神山監督は「ロングランとなったのも、この作品に一貫して流れている(原作者)石ノ森先生のイズムに支えていただいたからこそだと思います。作品に感謝したい」と感無量の表情を見せる。

 さらに神山監督は、劇場における上映が終了している中にあって「たぶん、今が一番『009』という作品が好きな時期かもしれない」とコメント。「今になって、こういう描き方もあったんじゃないかと、そういう思いが高まってきていますね。もちろん今すぐにどうこうという話ではないんですが」と続編制作に傾く気持ちをのぞかせた。

 またこの日は、石ノ森さんが遺した構想ノートを元に生み出された小説「2012 009 conclusion GOD’S WAR」の著者である小野寺も来場。くしくも、1938年1月25日生まれの石ノ森章太郎さん生誕75周年となる節目の日に、未完の「サイボーグ009」を終わらせた男たちによるトークが実現した。

 小説の執筆に、約14年もの年月が掛かったことを明かした小野寺は、「作者が苦しんでいたのを知っていたので、ものすごい重圧でした。逃げ出せるものなら逃げ出したかった」と過度のプレッシャーにさらされた日々を述懐。しかしある日、映画の「終わらせなければ、始まらない」というキャッチコピーを見た母親から、「あんたのことが広告になっているわよ」と電話があったといい「僕に言われているように思い込んでしまって」と明かす。構想ノートの物語は2012年が舞台だったため、昨年のうちに終わらせなければとあせっていたという小野寺だったが、「何とか昨年の頭に書き上げることができたのはあのコピーのおかげです」と意外なエピソードと共に、『009 RE:CYBORG』への感謝の気持ちを語っていた。(取材・文:壬生智裕)