[其ノ二 FX 投資戦略編]ユーロ/円の売り ぜい弱なユーロ景気。再び円買い開始 !?
欧州債務不安の後退などで円安ムードが強まっているが、ユーロ圏の景気の弱さに目がいけば、再び円高も…。


欧州債務問題が落ち着くと、ユーロは反落!?

ギリシャ支援融資がようやく合意に達し、ユーロ圏諸国がギリシャをユーロ圏にとどめようという意思が示されている中、通貨・ユーロは回復しました。

スペインは正式な支援要請を先延ばしにしようとしていますが、同国の利回りが上昇していない中で、現状はそうした戦略が奏功し、ユーロの安定要因になっています。

ユーロ/米ドルは、スペインとドイツの国債利回りの格差縮小に伴い回復。シカゴ通貨先物市場を見ても、ユーロ売りポジションが大きいことから、ギリシャやスペインなどの債務懸念が後退すると買い戻しが入り、上昇しやすかったといえます。

もっとも、債務問題は景気低迷の中で根本的な解決は難しく、かつ財政緊縮が景気に悪影響を与える中でユーロ圏の景気は非常に弱い状況。2012年は前年比でマイナス成長に陥った可能性が高く、2013年も前年比で0.1%程度と、かろうじてプラスとなる程度です。

こうした中、目先のギリシャ、スペイン対策への好感が一巡すると、ECB(欧州中央銀行)はユーロ圏の景気対策として追加緩和政策を検討することになるでしょう。

こうした見通しのもと、ユーロと連動性の高いドイツの国債利回りは一時期の過去最低水準からは回復したとはいえ、非常に低い水準。特に2012年、2013年と2%成長が見込まれている米国との金利差を比べると、?ユーロは上昇しすぎ〞とみることもできます。

今後ECBによる追加金融緩和が行なわれると、ドイツの相対的な低金利に収れんする形で、ユーロは対米ドルを中心に下落に向かう可能性が高いでしょう。

金利差や景況感格差の面からは、ユーロの下落は対米ドルで起こりやすいといえますが、年末から年初にかけては米国で「財政の崖」をめぐる不透明感が高まり、米ドル安圧力が高まるリスクもあります。この場合、円は対米ドルを中心に買われやすくなり、財政の崖の行方次第では、ユーロは対円のほうが下落しやすくなることも考えられます。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
バークレイズ銀行チーフ FXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり重要な為替取引や調査に従事した後、日興シティグループなどを経て、現職。特に欧州経済に詳しい。



この記事は「WEBネットマネー2013年2月号」に掲載されたものです。