「マル無 無添加味噌 田舎」(750グラム)。ハラール認証を示すシールが貼られていることが確認できる

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味噌(みそ)とイスラム――さてさて、何の関係が? 実は最近、マレーシアなどイスラム圏の各国でも「日本食」ブームが起きているのだとか。その中で味噌にも注目が集まっているのだが、問題は「戒律」。材料や製造工程に関するかなり厳しいルールを満たさなければ、イスラム信者(ムスリム)の人々の食卓に上げることはできない。

そこでひかり味噌(長野県)は、「ムスリムが食べてもいい」食物であることを証明する「ハラール認証」取得に踏み切った。味噌業界としては前代未聞で、目指すは「イスラムの食事に味噌を定着させること」だという。

イスラムの人々の「心」を理解するところから始めた

イスラム法では食べてよいもの、食べてはいけないものが厳密に分けられている。豚肉や酒が「不浄」として禁じられているのは有名だが、これ以外でも材料の輸送や製造の工程で不浄とされる行為があると、ムスリムには受け入れられない。国によっては、流通自体が不可能になってしまう。

ひかり味噌では以前からマレーシアなど東南アジアの日本食レストランなど向けに味噌の輸出を行っていたが、こうした事情から取引先から「ハラール認証」を受けることを強く求められるようになったという。

とはいえ、ハラールとして認められるのはそう簡単ではない。アルコールが使えない、などという製造工程の問題もそうだが、何より大変だったのは従業員への「教育」だった。

「なぜ、イスラムの人たちがハラールを大切にするのか。イスラムと縁のない私たちには、まずそこを理解する、『心を寄せる』ことから始めなければいけませんでした」

と広報担当者は語る。そのために、製造に関わる全従業員で勉強会を開き、イスラムの人々の考え方、思いを知ることに努めた。

味噌ドレッシングや味噌ソースで定着を

今回、日本ハラール協会を通じて認証を受けたのは、「マル無 無添加味噌 田舎」を始めとする4製品だ。2013年1月中旬から商品の出荷をスタートする。

現時点では、味噌は日本食に使われるいわば特殊な食材でしかなく、関心があるのも中〜高所得層がほとんどだ。しかしひかり味噌では、現地企業との共同開発製品などを通じ、日本食以外の用途でも「味噌」を定着させることを目指す。

「現在はまだ交渉中ですが、たとえば味噌ドレッシングや味噌ディップソースのような製品が作れれば。ハラール認証を受けているのといないのでは、現地での反応も全然違いますから、本腰を入れて販路拡大を目指したいと思います」

世界的な日本食ブームもあり、北米などではすでに多くのメーカーが味噌輸出に取り組み競争が激化しているが、ひかり味噌は人口増加中のイスラム圏を次の有望市場と見定め、「ハラール食品市場」でのNo.1を狙う。