サザエさんと言えば、みんなでちゃぶ台を囲む一家団らんの姿を思い浮かべます。マスオさんを婿に迎え、ペットのタマを入れて8人という大家族の仲の良い様子は、お茶の間の私たちを癒してくれます。

 ここで、少し想像してみてください。もし自分がマスオさんだったらアニメのように家族円満にやっていけるでしょうか。嫁の父(波平)は嫁(サザエ)に度々激怒、そして嫁の弟(カツオ)からは無茶な頼み事をされ...。マスオさんのように温厚な性格でないと、そうそう上手くはいかないかもしれません。

 ハウスメーカー「旭化成ホームズ」の二世帯研究所所長の松本吉彦さんは、著書『二世帯住宅という選択』のなかで「80年代の子ども2人が平均的な戦後世代では、男兄弟がいるとは限らず、都市部では生計が分かれたサラリーマン家庭である二世帯住宅ならではの特徴を活かして、娘夫婦と同居する住まいが出てきました」と述べています。実際に、このような傾向は「マスオさん現象」と呼ばれており、今後もこのような家族形態が増えていくと言われています。

 そこで、「マスオさんが堂々と帰宅できるように」と工夫されたのが、表札を別々の門にして家事空間は繋げて交流しやすくする「オモテ分離・家事融合」の住居です。玄関など社会と接する場面ではマスオさんの独立性を重視し、家の中では母娘が協力して家事をできるのが特徴です。

 ですが、松本さんは「現在では娘夫婦同居はすっかり定着し、肩身が狭いと思っている子世帯主は少ない」と言います。確かに、今では堂々と異なる苗字の表札を掲げる家をよく見かけます。

「二世帯住宅」という言葉は1975年にヘーベルハウスのカタログに使用されたことから始まったとのこと。それから38年。二世帯住宅は、今も時代の変化に合わせて進化しています。

 新たにみられるのは「2.5世帯」と呼ばれる家族構成です。これまでの親子二世帯に単身者の娘あるいは息子が関わる世帯のことで、背景には未婚率の上昇があるそうです。松本さんが2.5世帯の家族を訪問した際にそれぞれが密接に交流する仲の良さを感じたようで、その理由を「大人が多くなることで、助け合う場面が生まれやすくなるのでは」と分析しています。一つひとつは核家族で住居も分離しているかもしれませんが、みんなが集まって食事をしたりする様子は昔の大家族の風景を思い出させてくれます。



『二世帯住宅という選択』
 著者:松本 吉彦
 出版社:平凡社
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