さて、2020年の五輪開催都市は今年9月7日にブエノスアイレスで開かれるIOC総会の投票で決まる。最終選考に残ったのは東京、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)の3都市。昨年5月のIOC評価では東京は輸送、宿泊施設、医療サービス、安全警備など7項目で1位だったが、唯一のネックが「国民の支持」。ライバルのマドリード、イスタンブールがともに73%の支持を得ていたのに対し、東京はわずか47%にとどまった。開催地決定の大きな判断基準だけに不安を残すのだ。
 「候補地の国民に直接賛否を問う国民支持調査が1月〜2月に実施される予定で、これで趨勢が決まる。ここでライバルに負けない数値を出さないと招致に黄信号が灯るのです。事前の予備調査ではロンドン五輪の日本選手の活躍もあり、66%まで上昇しており、今後10年で200兆円の公共事業を打ち出した安倍自民党政権に変わったことでさらなる上昇は見込める。そのアゲアゲ策の総仕上げとなるのが国民栄誉賞を受賞した吉田のラグビーへの助っ人であり、東京五輪の招致アンバサダー(大使)抜擢です。就任の席でも『私、吉田沙保里は東京招致ができたなら、8年後は止められても出ます、もちろん金メダル』と宣言していたが、胸に秘めているのはラグビーでの出場なのです。実際、『20代はイノシシみたいに突っ走ってすごく早かった。30代は楽しみながら変身も含めていろいろ経験したい』と発言しており、二刀流プランを前向きにとらえているのは間違いない。ALSOK社が東京五輪招致委員会のオフィシャルパートナーになったのも、新年から吉田が練習の拠点を東京に移すのもそのためでしょう」(全国紙五輪担当記者)

 ラグビーにとっても救世主出現だ。2019年にラグビーのワールドカップ日本開催が決まっているからである。世界的なビッグイベントにも関わらず、サッカーとは違い、国内ではイマイチ盛り上がりに欠ける。
 来年3月には開催希望自治体を受け付け、'15年5月に開催10会場が決まる。1次リーグで4万人、準決勝、決勝は8万人規模の専用スタジアム建設が条件で、それぞれのスタジアム建設には200億円〜300億円が投じられるというが、「そんな金より震災復興が優先」という声もあり、機運は盛り上がらない。騒いでいるのは大手ゼネコンと広告代理店ぐらいの声も聞く。
 「いまや全国大会の高校ラグビーにしても予選出場校が集まらず、九州のある県などは予選4チームというありさま。180億円が予想されるW杯運営費を賄おうと超党派でつくるスポーツ議員連盟(会長・麻生太郎元首相)はラグビーくじ(toto)実施の法改正を図ったものの、売り上げが期待できず挫折している。肝心の日本代表『サクラジャパン』が'91年のイングランドW杯でジンバブエを下して以来、W杯で5大会連続勝ち星がないのが一番の原因。現在のサクラジャパンは元オーストラリア代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏をヘッドコーチに迎え、代表メンバー30人中10人を外国人出身選手で補強しているが、昨年9月の1次予選リーグA組では後進国のカナダにさえ勝てず最下位でした。惨状打開には化ける可能性の高い女子セブンズに期待するしかない」(スポーツ議員連盟秘書)

 なるほど、女子セブンズは昨年夏、マレーシアで開催された『アジア・パシフィック女子セブンズ』決勝でオーストラリア(ドバイ杯優勝)に敗れたものの、準優勝。同10月のセブンズW杯アジア地区予選(インド)でもフィジー、中国とともに今年6月のロシアW杯本大会出場を決めている。女子レスリング勢の援軍なしでも世界水準なのだから、彼女たちが加われば無敵艦隊も夢ではない。
 「ラグビーファン以外にはあまり知られていませんが、日本の男子ラグビーのトップリーグ(スーパーリーグ)にはサッカーに例えるならメッシやクリスティアーノ・ロナウド級の世界的なスター選手が何人も参戦している。豪州やニュージーランドの南半球のシーズンは2月〜8月で、オフ(9月〜1月)は日本でプレーしている。『パナソニックワイルドナイツ』でプレーするソニー・ビル・ウィリアムズ(NZ代表)が代表格で、彼は現役ボクサーで東太平洋ヘビー級1位。彼らを参考に二刀流プランを組み立てるのでしょう」(ラグビー専門誌ライター)

 今年は女子ラグビーがスポーツ界の台風の目になる。