総合商社編

業界トレンドNEWS Vol.158

総合商社編

5大商社の非資源部門の純利益をチェック!


■資源分野の伸びが一服も、非資源部門が大きく成長。継続的な成長のため、各社は新事業分野の収益化に注力

総合商社とは、「ラーメンから航空機まで」という言葉に象徴されるように、幅広い商品の取引に携わる企業のこと。従来は、原料や商品を売買して手数料を得る「トレーディング」が収益の柱だった。しかし近年では、事業会社に投資を行い、利益を株式の配当などの形で得る「事業投資」のウェイトが大きくなっている。

特に目立つのが、特定の分野で「バリューチェーン」(調達・製造・販売といった段階ごとに、製品・サービスの価値を高めていく流れのこと)を構築し、利益の最大化を目指す動き。例えば食料関連事業であれば、「原料となる農産物・畜産品の生産→製粉・搾油などの一次加工→加工食品、飲料生産などの二次加工→食品卸などによる流通→スーパー・コンビニ、外食産業などの小売」のように投資し、幅広い事業を手がける。このように、従来から商社が持つ独自のネットワークや物流機能を活用しながら、川上から川下までの企業を傘下に収めることによって、流通における業務効率をアップして利潤向上を目指しているのだ。なお、事業投資の分野では、市況の変動による収益の振り幅が大きい。そこで各社とも、リスク資産を考慮した社内指標を設定するなど、リスクマネジメントの徹底に努めている。

市況を概観すると、リーマン・ショックが起こった2008年、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の「5大商社」は、すべて減収に陥った。ところが、10年に入ると、中国やブラジルといった新興国での資源需要が急増。石油・天然ガス・鉄鉱石・石炭などの分野で投資を続けてきた総合商社は、資源価格急騰の追い風を受けて収益が好転した。その後、新興国での景気減速感が強まり、鉄鉱石や石炭の価格下落が発生して資源分野の伸びは一服したが、非資源部門は順調に回復(下表参照)。11年度における5大商社の純利益合計は、過去最高レベルの1兆6000億円規模に達している。

変化が激しい事業環境にいる総合商社にとって、成長が見込まれる分野で先行投資を行い、新たな価値を創出しようとする動きは、今後も強まる一方だろう。とりわけ注目されるのが、新エネルギー・環境といった分野だ。世界中で「再生可能エネルギー」へのニーズは高まっており、今後、大きな需要拡大が期待できる。例えば三井物産は、12年12月、カナダの風力・太陽光発電事業に出資参画することで合意したと発表した。

新興国での事業拡大も、各社が力を入れているポイント。まずは、経済発展により需要が急拡大している発電事業では、12年11月、三菱商事がチリの石炭火力発電所事業に参入すると発表。また、住友商事は12年12月、インドネシアの石炭火力発電所プロジェクトにおいて、発電設備一式の受注に成功した。また、途上国では人口増加によって都市問題が顕著になっているため、上下水道や工業用水の整備、海水の淡水化プラント、下水の再生や有効利用といった取り組みも有望視されている。