図10・11・12(図表提供=フランクリン・コヴィー・ジャパン)

写真拡大

フランクリン・コヴィー社の「7つの習慣」セミナーは、これまでに20万人以上が受講。そんな同社が提供する最新のリーダーシップ研修とは。

リーダーがメンバーから信頼され、チーム内に信頼関係が築けたなら、次に取り組む役割が「意義を見出す」である。これは正しい方向性を示すことであり、自分とメンバーにとって「価値あるビジョン」を描いて共有する取り組みである。

一般的な目標管理型リーダーは、チームに目標を与え、役割分担さえすれば業務が遂行されると考える。これも誤りではないが、私たちがめざす「偉大なリーダー」は、自分とメンバーのボイスを出発点とし、自分たちにとって意義のあること、価値のあることを実現しようと努める。ビジョン創造型のリーダーである。

そのビジョンが顧客ニーズを満たす自分たち独自の“意義ある貢献”であれば、誰しもコミットしてベストを尽くすはず、というのが基本的な考え方である。

だからリーダーは、顧客ニーズを満たす独自の“意義ある貢献”を見つけ出さなくてはならない。それは、メンバーのボイス、チームのボイスに強く結びついたものであるべきだ。

リーダーが創造するビジョンと戦略は、図10のようなパズルのピースにたとえることができる。それは自分たちのボイスだけでなく、「利害関係者のニーズ」と自分たちの「ミッションと価値観」を結びつける役割を果たす。

利害関係者のニーズは、自分たちのボイスと顧客ニーズに代表される。それは時とともに激しく変化しつづけるもので、「自分たちにとって大切なのは誰か?」「その人たちにとって最も大切なのは何か?」という問いから導き出される答えである。

それに対して変化しないのが、自分たちのミッションと価値観である。これは企業理念やミッション・ステートメントに代表される。「私たちの目的は何か?」「私たちにとって最も大切なのは何か?」という問いから導き出される答えである。

変化の激しいニーズと、どうしても譲れない原則に鑑み、その瞬間に最も適切な方向を選択するのが、リーダーが描くビジョンである。「私たちはどこへ行こうとしているのか?」「どのようにすれば、そこに行き着くことができるだろうか?」を考えてビジョンを策定する。そして、そのビジョンを実現するまでの道筋や手段を具体的に示したものが戦略となる。

ここで重要なことは、リーダーの描くビジョンと戦略が、メンバーにとっても意義がある、価値があると納得されることである。

従来の組織では、上から対前年比5%アップ、在庫削減30%などの数値目標が下りてくるだけで、なぜ、その目標を達成しなければいけないかという理由はなかなか見えてこなかった。メンバーにとって深い意義はなく、やらされ感だけが蔓延した。自社のホームページを開けば、高邁な経営理念やビジョンは掲げてあるが、自分たちの仕事とそこを結ぶ説明はほとんどない。現場とのギャップがきわめて大きいのである。

そのような場合も、ビジョン創造型のリーダーは、両者をつなぐパズルのピースを描いていくことになる。自分のボイス、メンバーのボイス、組織のボイスを結び合わせ、1人ひとりの貢献を価値あるものにするのがビジョニングである。

リーダーの描くビジョンがメンバーの共感を得て、意義と価値が認められるには、そのための内容と伝え方を知る必要がある。図11に示したのは一般に「共感しにくいビジョン」と「共感しやすいビジョン」である。

メンバーにとって「会社のために……」は共感しにくく、「お客様のために……」は共感しやすい。また、業務を遂行するメンバーは「役割と責任のみ」が与えられるよりも、なぜ、それが必要かという目的が加わるほうが共感しやすい。

成功が見えることも大切で、例えば、長らく成長が止まったままの事業で「3年以内に売り上げ2倍」という目標を掲げてもメンバーは本気にしない。さらに、仕事量が増えて消耗していくだけのビジョンより、その仕事を通じて自分自身も学び、成長できるものが共感しやすい。

ビジョニングの第一歩はリーダーが責任をもってアイデアを出すことである。まずは自分自身で現状を分析し、綿密に考える。それから、必ずメンバーも含めて一緒に協議し、まとめあげていく。

最後に、出来上がったビジョンが図12に示した4つのポイントを満たしているかをチェックする。これは、ボイスの4つの側面と同じである。つまり、ビジョンがボイスに適ったものになっているかを最終チェックするのだ。このとき、大切なのは、自分だけでなく、メンバーもこの4つのポイントにOKを出すだろうかという視点でもチェックすることである。

メンバーに伝えるときは、数値目標に合わせて、最終的にどのような状態になるのかを視覚化、映像化するように話して聞かせるのが表現のポイントになる。ビジョン創造型のリーダーには、想像力と創造力の両方が必要である。すでに目の前にある現実の仕事を処理するだけでは従来型のマネジャーと変わらない。

メンバーとの協議で気をつけたいのが、リーダー1人が力を入れ、「よし、これでいくぞ!」と決めても、メンバーが誰もついてこないこと。背中で引っ張るリーダーは、いまは通用しない。逆に「君はどう思う?」「君は?」とメンバーの意見ばかり求めて決断できない世論調査型も信頼されない。

リーダーがアイデアを出し、メンバーと協議し、最終的にはリーダーが決断を下す。これを繰り返すことが大切である。

メンバーは、自分たちでつくりあげたものだと思うからこそ、そのビジョンが共有され、共感が得られるようになる。

(フランクリン・コヴィー・ジャパン副社長 竹村富士徳 構成=伊田欣司)