ジャパネットたかたが経営不振に陥っている。
 原因は、家電エコポイント制度による「テレビ特需」の反動、地上デジタル放送移行によるプラズマテレビ等の売り上げ減少、アマゾンなど他のネットによるシェアの食い荒らし、などが考えられる。

 '11年12月期の売り上げは、前年比13%減の1531億円で7期ぶりの減収だった。今期('12年12月期)の売り上げも前年割れとなることが確実である。
 「高田明社長は、従来のような家電に頼り過ぎた売り上げ構成では必ずつぶれる、という恐怖感を抱いている。だから'12年10月の京都からの生番組では、日本酒が商品の中心だった」(大手広告代理店関係者)

 そこで、最近の高田社長は、「'14年3月期で最高益を達成できなければ社長業をやめる」と公言しているのだ。
 高田社長の危機感は'12年8月に、スタジオ本拠地を長崎から東京へと移転させた動きにも表れている。六本木の高層ビル34階に“東京出撃拠点”を設け、地上波を除くテレビやインターネット向けの通販番組を制作、'12年12月には最新スタジオも設けた。
 バイヤーの約9割も長崎から東京に異動させ、早期に「家電外」売り上げを現在の約2倍に引き上げる方針だ。

 たしかに大きな賭けに出たといってよかろう。だが、一歩間違えれば、東京キー局のトップは顔色を失うだろう。
 「もっとも密接な関係なのがテレビ東京・BSジャパングループですよ。午前中『快適!ショッピングスタジオ』で枠を提供している。午前11時から日によってばらばらだが1〜2時間、商品を売りまくっている。テレ東だけで年間推定40〜50億円になるのではないか。今後、たかたの動き次第では、テレ東の株価に打撃を与えますよ」(テレビ業界事情通)

 その一方で、高田社長の“社長退任”発言について違った読み方をする関係者も少なくない。
 「長男で東大卒の高田旭人副社長を早くトップにつかせたい。だからそういう発言が出たのです。旭人副社長は'12年9月に専務から社長に昇格した。社長交代は、良いときにはだめで、逆風のときに限る、という思いが父親にはあるのでしょう」(通販業界関係者)

 高田社長の発言は、しばらくテレビ界を震撼させることになりそうだ