取材・文・写真: 編集部

(第3回/全4回)「UT」、UNDERCOVERとの「UU」プロジェクトほか、話題のデジタルプロジェクトの仕掛人、ユニクロ松沼礼氏インタビュー

日本国内のみならず海外でも積極的に展開し、日本のアパレルとして初のグローバル・カンパニーを目指すUNIQLO (ユニクロ)。今年9月には、BIC CAMERA (ビックカメラ) と共同で同社がグローバル繁盛店と位置づける新業態「BICQLO (ビックロ) 」を新宿にオープンし、より一層注目を集めている。
そして今年で10周年を迎えるTシャツ・ブランド「UT (ユーティー) 」。同ブランドは2002年にUNIQLOのTシャツ・プロジェクトとして始動し、国内外のアーティストや企業とコラボレーションをした独自性の高いデザインで高い評価を得ている。このUT事業に2004年から携わり、現在同プロジェクトのチームリーダーを務める松沼礼氏に話しをうかがった。彼は話題性のあるデジタルマーケティングの企画や、UNDERCOVER (アンダーカバー) との「UU (ユー ユー) 」プロジェクトの仕掛け人でもある。


ビックロ | BICQLO


- ひとつひとつのキャンペーンに、著名なクリエイティブ・ディレクターやアート・ディレクターが関わっていると思いますが、どういう進め方をされているのですか?

会社が持っている経営課題やデジタルにおいての課題というのは、日々刻々と変わります。あるときの課題が、半年後まったく同じ課題のままだとしたら、それは企業が成長していないということになると思います。課題が都度あるごとに、専門の方たちとコミュニケーションをとっています。毎週そういった方たちとのミーティングを設けていて、特定の議題がなくても、いまの世の中はどのような感じなのだろう、UNIQLOはいまどのような感じなのだろうというふうにお互いに考えを出しあったりしています。他の会社さんもそうかもしれないですけど、新しいお店を開くときは、今回のBICQLOがその例にあたりますが、プロジェクト・ベースで動いたりもします。オープン時にお客様の来店を最大にするため、マス広告からデジタルも含め、総動員してやるわけです。そのときに「これを達成したい」というのが明確にあるので、それに対してのソリューションを提案してもらったりしています。

2/3ページ: デジタルとファッションの今後の関わり方の理想像


UNIQLO × UNDERCOVER


- 商品の話になりますが、UUは松沼さんが担当されているのですか?

僕は、最初の部分と、マーケティングの部分で一部携わりました。僕の担当しているUTもそうですけど、世界中の企業や才能ある人とコラボレーションを行うということは、UNIQLOの新しい側面を見せることにもなりますし、旬な話題を世の中に提供することにもなります。当時は、日本の才能あふれる人たちとなにかできないか?と、会社の中でもごく少ない人数で話し合っていました。UNIQLOは日本初のグローバル・ブランドになろうしていますし、日本の才能と組むことによって、「メイド・イン・ジャパン」「フロム・ジャパン」のモノを世界に提示していきたいと。そこでUNDERCOVERを真っ先に思いつきました。過去で言えば、デザイナーJil Sander氏とのコラボレーションは、究極の美意識あるファッションを追求をしていました。しかしUNDERCOVERとは、日本発で今の時代の新しい家族像を提案し、そのようなファミリーに向けた洋服を作っていこうということになりました。子ども服も含めて。子ども服はすぐ売り切れてしまいましたね。僕もオープンの日に行きましたけど、すぐなくなっていました。

- デジタルとファッションの今後の関わり方の理想像を教えてください。


©THE FASHION POST

ファッション、衣類というのは、衣食住というくらい本当に毎日着るものでもあるし、毎日人が接するポイントでもありますよね。デジタルもいまやもうみなさんスマートフォンを持たれていて、家でも外でも、どこでも情報が入手できるようになっています。個人がなにかを発信したい場合も、スマートフォンを使えば、いろいろなことができるようになっていきますよね。UNIQLOで働く僕たちは、日々の生活をよりよくするような革新的な衣類を提供して、世界中の方によろこんでもらいたいと思っているので、デジタルと非常に親和性があると思っています。服を着ているとさまざまなことが日常の会話の中で出てくると思うのですが、僕が担当しているUTに関しても、グラフィックTシャツというのはTシャツの中でも一番メッセージ性が高く、自己表現のツールであるかなと思っています。あるバンドのTシャツを着ていたら、「そのバンド好きなの?」というふうな会話が普通に出てきたりしますよね。Tシャツは人と人をつなげるコミュニケーション・ツールにもなるわけです。そこにデジタルの要素が加わることで、新しいTシャツの着方や使い方、遊び方が生まれるのではないかと思っていますが、いまはまだ答えは見つかっていません。またいろいろとやるうちに見えてくるかもしれません。

3/3ページ: UNIQLOでいま一番宣伝したいこととおすすめのショップやブランド

- UNIQLOでいま一番宣伝したいことはなんですか?

UNIQLOのモバイル会員ですね。アプリとメルマガを中心に会員の方のためだけにお得な情報を伝えています。さきほどの話とも繋がりますが、アプリをお客様とユニクロをつなぐ媒体にしたいと思っています。いまはまだお得情報が中心ですが、このアプリを持っていると便利だとか、日常の生活がたのしくなるとか、もう究極を言うと、UNIQLOアプリを使いたいからスマホに変えたいというぐらいのレベルにもっていきたいですね。そういうようなお客様にとってすごく価値のあるサービスやコンテンツが開発されてきたら、おのずと人は集まって来てくれるのかなと思っています。日本はもとより世界中でそのようなファン層を拡大していきたいですし、このアプリを通じてお客様とワンツーワンで深く長い付き合いができると思っています。まずはぜひダウンロードをして、会員になっていただきたい (笑)。

©UNIQLO

©UNIQLO
©UNIQLO

海外でも一部の地域ではアプリをやりはじめていますが、まだまだぜんぜんです。やはり日本で土台となるプラットホームをまず作って、それを海外に移管していくというやり方になると思います。あと「Clothes for Smiles」にも力を入れています。今年の10月11日にプロテニスプレーヤーのNovak Djokovic選手と一緒に立ち上げたプロジェクトなのです。世界中の子どもたちの夢と希望をかなえるためのアイデアを世界中から募集して、HEATTECHやLIGHT DOWN (ライトダウン) などの購入金額の一部を基金にあてます。総額10億円ベースのプロジェクトで、世界中の子どもたちに夢と未来と希望を与えるようなものであれば本当にどんな内容でも投稿可能なので、ぜひ投稿していただきたいと思っています。


©THE FASHION POST


- 最後に、松沼さんがおすすめのブランドやショップを教えてください。

・DELUXE (デラックス)
URL: http://www.deluxe.jp
僕の義兄がやっています。トラッドをベースにした、ベーシックでスタンダードな服作りをしており、30代半ばの自分にあった、着ていて気持ちのいいブランドだと思います。僕も年齢とともに、少し落ち着いた感じに見えるような服を好むようになってきました。このブランドの服を着ていると自分の意識感覚が高まる気がします。

・PR Bar (PIEDPIPER REBARTH PROJECT BAR)
住所: 東京都港区北青山2-12-35 タートルストーンビルB1
Tel: 03-6434-5727
URL: http://www.prbar.jp
この秋にオープンしたばかりのPied Piperがやっているバーで、自分の若かりしころにいろいろと遊びを教えてもらった人たちが集まっています。繰り返し行きたい場所ですね。店長がユニークです。

・串若丸
住所: 東京都目黒区上目黒1-19-2
Tel: 03-3715-9292
自宅の近所で、創業20年以上の老舗の焼鳥屋。値段がリーズナブルで、お肉は大きくて食べ応えがある。ここの焼鳥は本当に美味しいです。家族そろってしょっちゅう通ってます。

(第3回/全4回)「UT」、UNDERCOVERとの「UU」プロジェクトほか、話題のデジタルプロジェクトの仕掛人、ユニクロ松沼礼氏インタビュー

Rei Matsunuma

Rei Matsunuma

松沼礼 (まつぬま れい)
2002年 法政大学 法学部法律学科卒業
2003年 グラフィックを独自に学び、イベントフライヤーデザインなどを手がける
2004年 ユニクロにグラフィックデザイナーとして入社
2007年 UT STORE HARAJUKU.の立ち上げプロジェクトに参画
2007年 ユニクロUTデザインチームリーダー
2008年 ユニクロUT事業チームリーダー
2010年 ユニクロデジタルマーケティングチーム リーダーを兼任
2011年〜 多数のデジタルプロジェクト / UTコンテンツを企画、発表

『UNIQLO』 HP
URL: http://www.uniqlo.com