各地悪天候に見舞われ、こと首都圏においては稀にみる大雪となった、先日の成人の日。各自治体で開かれた成人式と同時に、各小学校単位での同窓会も併せて開かれたようで、その中の企画として、当時仕込んだタイムカプセルを、その同窓会で開ける、なんて企画が行われることも多いようだ。夢について記憶を呼び起こす、なんとも素敵な企画。実際に、新成人となった人たちは、現在どのような心境なのだろうか。

株式会社セイコーが行った、新成人の人生観についてのインターネット調査によると、今現在夢を持っている人は約7割。その一方で、将来に関して不安を抱えている人が、全体の9割にものぼるという。自分のやりたいことはあるものの、世間一般の閉塞感から現実を見ているといったところなのだろうか。

だからといって、大人たち全員が夢を実現した人と、諦めてしまった人に二分されるかというと、そんな寂しいことでもない。日本コカ・コーラ株式会社が20〜40代の社会人に実施したインターネット調査によると、現在夢を持っている人は全体の43%。また、ないと答えた52%の中でも、やりたいことがあると答えた人は半数以上の53%にのぼるのだ。

幼少の頃の夢は、プロ野球選手や宇宙飛行士、ケーキ屋さん(パティシエ)、看護婦さん(看護士)などといった、職業が多い。しかし先ほどのデータは、なにも夢とは、幼い頃や若い頃に描くものばかりではなく、日々過ごすうちに思い描く理想や目標、やりたいことなども「夢」となる、ということを示しているのではないだろうか。ひょっとすると、もともと持っていた夢も潜在的に眠っているだけなのかもしれない。

幼い頃から根っからの文学少年だったという、Sさん(30歳)。文学好きの影響からか、出版業界を夢見ていたが、大学卒業後に実際に就職したのはインターネット関連の企業。夢破れたり、な話かと言えば決してそうではなく、本人は納得して日々の仕事に打ち込んでいたという。しかし、26歳の頃に訪れた屋久島で、人生の転機が。

生まれも育ちも東京のSさんにとって、「屋久島の大自然、そして山登り、トレッキングといった自然の中で楽しむアクティビティは刺激的な体験でした。その後、年に数回は屋久島を訪れるようになり、ついには『いつか、ここに住みたい』という夢を持つようになるほど、夢中になっていましたね」。そして夢の実現に向け、アウトドアガイドとなるべく勉強やトレーニングを開始。屋久島でのコネクションや経験も築き上げて、ついに29歳で移住を決意した。

「東京で働いている時は、日々の仕事に忙殺されていて、夢を語るというか夢を持とうという気持ちもどこかに眠っていました。しかし実際に夢を持ってからは、今している仕事も何か夢につながるかもしれないという思いが湧き、良い意味で緊張感を持って仕事に取り組めるようになりました」。

しかし、大人になってからの夢を実現させるには、相当の覚悟が必要で、それまでのさまざまな葛藤があるのも事実。「東京から屋久島という遠距離の移住だったので、夢を叶えるために失うもの、たとえば、友達との交流や東京で築いたライフスタイルなど、ハードルも多く、自分が本気なのか自問自答した。ただ最後は、“なんとかするしかない”という覚悟しかなかった」という。

そしていざ決意した際の反応が、なによりも面白かった、とSさんは言う。
「夢を伝えるなんて冷めた反応が返ってくるかと思いきや、職場の上司、先輩、後輩から好意的な反応をもらえました。“屋久島に絶対行きます!”と言ってくれた後輩もいた。また、同僚の中には、“俺も何かやりたい。いいな〜。頑張ってほしいよ。”という今までは聞けない本音も聞くことができ、みんなも何かやりたいという思いは持っているんだな、というのを感じました」。