工場で作られた無農薬野菜が飲食店に並ぶ時代になりました




野菜工場で野菜を作る方法が研究されている、という話を聞いたことがあると思います。東日本大震災後の電力事情もあり、電気消費が気になると思いきや、LED照明であまり電気を消費せず、生産できるようです。電飾の色を変えることにより、栄養価や育つスピードもコントロールできるとか。工場で作れられる野菜の実際を取材してきました。



■関東全店舗では既に工場栽培のバジルが使われている



教えてくれたのは、コロワイドMDの早田さん。同社グループは、居酒屋「甘太郎」、レストラン「ステーキ宮」などをはじめ、多数の外食ブランドを展開している外食チェーンです。2012年6月1日以来、野菜工場で野菜を本格栽培しています。



――野菜工場はどのような仕組みになっているのですか?



「野菜工場は、敷地面積104.8坪。グループ内の飲食店チェーンおよび外部企業に加工食材を供給するための、中核的な役割を担う神奈川工場の2階にあります。現在は、5段式の栽培ユニット48台で水耕栽培を展開しています。赤色・緑色・青色と3色のLED光源を使用して、完全密閉型の無菌栽培なので、農薬を使う必要がありません」



――野菜工場では、どんな野菜を作っているのですか? 既に商品として出荷されているのでしょうか?



「一番多いのはバジルで、2万株以上栽培し、関東全店舗では既に工場栽培のバジルが使われています。レタスやベビーリーフも出荷しています。また、収穫当日中に、同じ敷地内にある工場で、全国の『ゆであげパスタ&ピザ ラ・パウザ』で使用するジェノベーゼソースを作っているんですよ」



■種まきから約5〜6週間で出荷が可能



――どうして野菜工場を作ろうと思ったのですか?



「安全・安心な野菜を供給し、品質・量・価格を安定させるためです。完全閉鎖型の植物工場ですので天候に左右されず、農薬も使用せずに栽培することが可能になります。



LEDの電飾で、味や栄養価、育つスピードもコントロールできるんですよ。例えば、赤を強くすると成長スピードが促進され、青を強くすると葉や茎を広く太くすることができます」



――天日栽培との違いについて教えてください。



「LED菜園で育った野菜は、露地栽培と比較して、栄養価が高くなる傾向があるそうです。これは、水耕栽培により植物が栄養を効率よく吸収・利用できるためと考えられています。また、日光で育てるよりも生育が早く、植物工場では種まきから約5〜6週間で収穫が可能となります」



――野菜工場で作るのが適している野菜、逆に適していない野菜はあるのですか?



「葉物野菜の栽培に適しています。一方、高さや水槽の深さに制限があるので、背の高い農作物や根菜類は制限を受けます。さらに根菜類は、水中では自由に育つので形は整いません」



■将来はなくてはならない存在にしたい



――どのくらいの電力を必要としているのですか?



「LEDは電気から光へ変換効率が非常に高く、電球のように熱も発しませんので、電球や蛍光灯に比べて消費電力も低く抑えることが可能です」



――いつ頃、野菜工場で作った野菜を店舗で使うのが一般的になるのでしょうか?



「まだ時間のかかるお話ですが、近年の農業環境を考えると、将来的に重要な供給元としてシェアを持つと考えています。今は数パーセントの比率ですが、将来はなくてはならない存在に育てるべく挑戦をしています」



――野菜工場の課題があれば教えてください。



「事業として成功した事例はないと聞いています。他社の追随を許さない成功モデルを確立するのが、これからの課題です」



工場栽培の野菜が商品化される時代がついに来たのですね。10年後、工場野菜はどのくらい一般的になっているのでしょうか。



取材協力:コロワイドMD



(OFFICE-SANGA 臼村さおり)