大島渚監督死去…作品から学ぶ社会派エロス!必見タイトル4選

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1月15日、映画監督の大島渚氏が享年80歳で死去しました。

監督デビュー以来、日本のみならず、世界を魅了し続けてきた大島監督の「社会派エロスの世界」を体感していただくべく、監督の代表作4選をご紹介します。

大島渚の「社会派エロスの世界」

1956年のデビュー以来、社会的話題作・問題作と言われる革命的な作品を発表し続け、世界を魅了してきた大島渚監督。

とくに70年代〜90年代の「人間の愛欲」をテーマにした作品群は、濃厚さ・斬新さ・深遠さをたたえながら、日本映画史に空前絶後のセンセーションを巻き起こします。

大島監督は、映倫や日本映画界に対する反骨精神から、それらの作品を確信犯的に送り出し、タブーを打ち破ることで命を賭けた極限の性愛に肉薄していったのです。

今回は、みなさんにもそのアーティスティックな衝撃と、大島監督のライフワークとも言うべき「社会派エロスの世界」を体感していただくべく、彼の代表作4選をご紹介します。


●その1:「愛のコリーダ」(1976年)

大島渚監督の名を世界に轟かせた、衝撃の代表作。

犯罪史に残る『阿部定事件』を題材にし、メジャー作品としては数少ない『ハードコア』(過激な性描写を含む作品)としても有名。

藤竜也と阿部定役の松田暎子という女優さんが見事に役を演じ切りましたが、後に、シナリオやスチール写真を載せた本が“わいせつ文書図画”にあたるとして検挙され、法廷論争にまで発展する事態に。

権力と対峙してもひるむことなく、表現の自由を貫いた“戦う映画監督”の姿は多くの関心を集め、作品自体も芸術作品として国際的な高評価を得ました。

公開時、日本国内では、ぼかしや大幅なカットを加える修正を余儀なくされたため、ノーカット版を見るためにわざわざ海外にまで出かけたひともいたそうです。

ネットで簡単にエロ動画なんかを見られてしまう現代人にとっては、古き良きエキサイティングなエピソードですね。


●その2:「愛の亡霊」(1978年)

こちらもハードコアで、「愛のコリーダ」で主演を務めた藤竜也が、女優の吉行和子を相手に再び本番シーンを務めています。

人妻と浮気相手の男が夫を殺害してしまうという“不倫”を題材にした幻想的な作品で、「愛のコリーダ」同様、男女の究極の愛欲を描き出したもの。

この作品は第31回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しました。

当時40歳だった吉行和子が演じる、疲れた人妻像を通じてにじみ出す妙な色っぽさから目が離せません。

忙しい現代女性の皆様にもこの妖艶さ、ぜひ参考にしていただきたいものです。

また、日本独特の自然や風景などを盛り込んだ映像美と、少し滑稽に映るほど哀れな主人公たちの必死さの描写が秀逸。

ちなみに、映画評論家・おすぎが俳優としてちょっとだけ出演しています。

すごくわかりにくいけれど、鑑賞のついでに探してみるのも一興かも?


●その3:「戦場のメリークリスマス」(1983年)

大島渚を知らずとも、この作品は知っているというひとも多いのではないでしょうか。

歌手のデヴィット・ボウイや坂本龍一、そして、漫才ブーム真っ只中のビートたけしの起用が話題を呼んだ、この作品。

インドネシアの日本軍捕虜収容所を舞台に描かれる戦争映画なのですが、他のヒューマニズムあふれる反戦作品とは一線を画し、様々な社会的テーマが盛り込まれています。

(難しいことはさておき!)エロスのアプローチをはずさない大島監督は、登場人物が全員男性という本作で、美形のボウイや坂本教授によってホモセクシャルを彷彿させるシーンを多用。

異常な状況下での友情や絆が、時として性愛へと転化していく様を描きだします。

「教授やたけしの演技……なんとなく大根じゃない?」とつぶやきたくなるかもしれませんが、そんな感想ごと楽しめる『大島美学』に酔いしれてみてはいかがでしょうか。


●その4:「御法度」(1999年)

1996年に脳溢血で倒れた大島監督が、闘病後にメガホンをとった復帰作で、遺作ともなった作品です。

幕末の京都を舞台に、新撰組のホモセクシャルの世界を「どうだ!」と言わんばかりに直接的に描いた作品。

常に『死』と隣り合わせの『性』が、閉塞された世界で鮮やかに浮かび上がり、究極の愛欲を描いた「愛のコリーダ」「愛の亡霊」に匹敵する重みを感じさせます。


表現を追求し続けた名監督

これまで大島作品を鑑賞したことがないというかたは、ぜひこの機会にご紹介した作品を見てみてはいかがでしょうか。

人間の本能とも言うべきエロスの世界を、権力や社会常識と戦いながら描き続けた大島監督。

その足跡に最大の敬意を表するとともに、心からのご冥福をお祈りします。


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