[其ノ一 株ファンダ編]年末年始の中小型株ラリー、本当のメカニズム発見!
今月は、いつもより内容がおもしろいです!と最初に言い切ってしまいます。年末年始に中小型株が上がる現象が、なぜ起こるのかがわかった! キーワードは「配当支払い」です。


過去10年間、中小型株はジャスダック2.3%、東証2部1.4%の上昇
年末になると、兜町は「この時期は株が上がるんだよ」と色めき立ちます。特に「中小型株が強い」というのが定説です。そこで、最近10年間の12月と1月の月間騰落率の平均を調べてみると、日経ジャスダック平均は「2.3%上昇」、東証2部指数は「1.4%上昇」。年末年始の上昇を期待して中小型株を買うというのは、ひとつの戦略になりそうです。

では、なぜ年末年始に中小型株が強いのか? その答えですが、「いつも、そう動くよね」という曖昧な認識が多いようです。でも、年末年始の「中小型株ラリー」にはメカニズムが存在していました!それは、このラリーがいつから始まるかを調べるとよくわかります。下のグラフを見てください。2011年11月1日〜2012年1月31日の値動きを振り返ったものですが、ラリーの出発点は11 月の月末あたりです。しかも、この時期は陽線(始値より終値が高い)が多く、取引時間中の需給が買いに傾きやすくなっています。なぜこんな現象が起こるのでしょう。 



ズバリ、11月最終週〜12月第2週に「配当の支払いが集中するから」です。日本企業の中間配当は9月末権利確定が多いのですが、実際に配当金が振り込まれるのはこの時期です。2012年の集中日は12月3日でしたが、この日だけで約180社。合計で7000億円にも上ります!

配当が振り込まれると、その配当を元にした「再投資」が起こります。個人投資家は少ないでしょうが、機関投資家は再投資します。一例ですが、中小型株に投資する投信は、組み入れている株の配当が振り込まれた瞬間に現金のウエートが高まります。中間配当だけで運用資産全体の1%以上に相当することが多いため、これを現金で保有してしまうと株式のウエートが低下します。そこで、配当分を再投資に回すわけです。

このとき、中小型株のパフォーマンスが相対的によくなるのは、中小型株が先物などを使って事前に配当落ち分を手当てできないためです。

TOPIX(東証株価指数)をベンチマークにしている場合、配当が落ちた9月末時点で、配当落ちから配当を受け取るまでの約2カ月間のトラッキングエラー(運用のブレ)を防ぐため、「配当分に相当するTOPIX先物を買う」形で対応します。実際に配当が入ったら、先に買っていた先物と現物を交換すればOKです。一方で、新興株など中小型株には先物が存在しないため、実際に配当が入るまで再投資できません。同じことが、期末配当が振り込まれた2012年の5月末にも起きていました。
 
11月最終週から3週間かけて、配当が順次振り込まれます。先ほどの「1日で7000億円」は、この3週間でトータル2兆円以上に! すべてでなくても2兆円の一部が再投資に回ると、丸3週間も需給が買いに傾き、気づけば中小型株に上昇トレンドが生まれているというわけです。



【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターをこなす。



この記事は「WEBネットマネー2013年2月号」に掲載されたものです。