いい企画を生む7つの心得

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■プロは子供にも企画の相談をする

企画のプロとアマチュアには明確な違いがあります。それはプロは「誰かと会って」企画を考え、アマチュアは「1人で」考えることです。プロにも一流と二流の差があって、一流は「相談する相手を選ばない」のに対し、二流は「相手を選び」ます。

プロでも企画を1人で考える人はいますが、慣れて上級者になったか、そうせざるをえない状況にあるかです。企画をつくり慣れている人であればあるほど、「企画を考える=人と会う」になります。

なぜなら企画は人と人との間にできるものだから。何となくやりたいことや困っていることを人と話していくなかで、自分のやりたいことが明確になってきます。

ですからいきなり企画書を書こうとするのではなく、まずは目の前の人に話してみましょう。言葉を発しない限り企画は動きません。相手は奥さんや親兄弟でもいいし、自分の子供でも構わない。

僕は散髪している最中に理容師さんに相談したりします。発想が面白い人や、頭がよくて自分の言いたいことをすぐ理解してくれるような人は、むしろやめたほうがいい。僕のやっている仕事がまったくわからない人にわかるように説明しているうちに、自分の口から意外な言葉が出てきて企画のきっかけになったり、解決のヒントが見つかったりするのです。

一番よいのはお互いに企画を相談し合うチームをつくることです。チームといっても専任である必要も同じ職業である必要もなく、いつもお互いの企画について話せる仲間を持つということです。ずっとやっていれば「こいつと話すと発想がよく浮かぶ」という相棒も見つかってくるでしょう。

チームをつくるのは積極的に他人の企画の相談に乗る目的もあります。そうすれば自分が企画を考える訓練にもなるからです。自分の企画ばかり考えていると、当事者であるがゆえに面白いアイデアが思いつかなくなってしまいます。

チームで企画を相談するときは、こんな方法がお勧めです。話し合うテーマを決めたら、各自が自分の考えた企画ごとに紙を1枚用意し、そこにアイデアを3行くらい書いておきます。つまらないアイデアでまったく構いません。

そしてみんなで集まって車座になり、自分の紙をそれぞれ左隣の人に渡し、右隣の人から受け取った他人の紙に、その企画がもっと面白くなるようなアイデアを書き足していきます。グルグルとこの作業を続けると、紙が一周する頃にはアイデアが20個ほど加わり、かなり面白くなってきます。

他人のアイデアが付け加えられた紙が手元に集まったら、そこから1つを選び出すのではなく、複数の企画を最大限に合体して1つの企画をつくります。これをA案とすると、次にどうしてもA案に入りきらなかったアイデアでB案をつくる。最後に、全然使い物にならなそうだけどみんなには受けたアイデアをC案とします。この3つで企画会議に臨めばよい。

いろいろなアイデアをあきらめずに無理矢理合体させていくと、何か不自然なふくらみが出てきます。それが面白さや自分にしかできない個性の発揮につながります。

もし仲間がいない、あるいは仲間を集めている時間がなければ、この作業を1人でやります。そのためには、誰でも考えそうなつまらないアイデアを最低10個は出しましょう。で、それらを無理矢理足して1つの企画にまとめます。アイデアを出す時間は60分以内、合体させるのは15分以内。頭の瞬発力には限界があるので、長時間考えてもしんどいだけです。

企画を立てるのが下手な人は一番よい企画へいきなりたどりつこうとしますが、よい企画はたくさん数を出すなかから生まれるもの。頭のいい人は最高の企画をポンと出してくるように見えますが、彼らは頭のなかで考えて考えて考え抜いた企画のなかからたった1つをチョイスしているのです。

よい企画のために、つまらない企画をたくさん出さなければならないのは、美味しいものを食べたいのなら、数多くの店に行ってみるしかないのと同じことです。

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オタキングex社長 
岡田斗司夫  
1958年生まれ。アニメ・ゲーム会社「ガイナックス」代表取締役などを経て2010年より現職。大阪芸術大学客員教授。

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(オタキングex社長 岡田斗司夫 構成=宮内 健 撮影=的野弘路)