僕の売り払った自動車も外国に輸出されているの?




海外旅行に行って、日本製の中古自動車に乗ったという人は案外います。自分では経験なくても、誰かからそんな話を聞いたことがある人も多いはず。実際、どういう仕組みになっているのでしょうか。そこで、日本で中古自動車を集めて海外に転売することに携わっている方に取材しました。輸出の多い国、輸出されている数、人気の車種、今後の展開など、経済産業省認可「日本中古車輸出業共同組合」の専務理事をされている塩田さんにうかがいます。



■2012年は100万台の日本の車が海外へ



――日本の中古車は、何台くらい輸出されているのでしょうか?



「2012年は約100万台です。リーマンショック前は135万台以上でした。2010年は83万台、2011年は震災の影響もあったのに85万台と、戻ってきています」



――円高の打撃はあるのですか?



「もちろん、円高の影響は大きいです。リーマンショック前と今では、円の値段は50%アップになっています。当然売値も上昇してきますが、利益を削っています」



――日本で不要のスクラップを集めて海外に高く売る、中古車輸出はアンダーグラウンドなもうかる仕事だと思っていました……。



「その逆です。利幅は極めて薄いです。円高の影響も深刻ですし、中古車はほとんどオークションで仕入れる形になりますから、業者間の価格競争が激しいです。現在、ぬれたぞうきんを絞って乾いたぞうきんになってしまった状態で、これ以上、経費削減でなんとかしようとしても、やりようがないというのが現状です」



■海外では、中古の軽自動車の需要はない



――日本の中古輸出業者は、何社くらいなのでしょうか?



「経済産業省認可である、当協会の会員はおよそ200社。全体では、玉石混交合わせると6,000社あると言われています」



――中古車はどの国に輸出されているのですか?



「日本の中古車が輸出されている国は、200カ国程度あります。台数は年によって異なるのですが、ここ数年はロシア、アラブ首長国連邦、チリ、ニュージーランド、南アフリカ共和国、ケニア、パキスタンに多く輸出されています。また、2012年はミャンマーにもかなり輸出されました」



――どのような車が人気なのですか?



「海外では、日本のように道路が整備されていないので、日本で人気の軽自動車は売れません。デコボコした道を走れる自動車であることが必須になります。また、修理設備の関係もあり、アフリカにハイブリッド車が輸出されることはありません。あとは、国によりますね」



■信用できる相手を見極める力が必要とされる



――参入しやすいビジネスなのですか?



「オークションに登録すれば、誰でも中古車を仕入れられます。けれども、事業として成立させるためには、取引先とのコミュニケーション能力が必須。特に、日本とは背景が異なる海外とやりとりするわけですから、そう簡単にはいかないと思います。相手を信用できるか見極めるのには、なんといっても経験がモノを言います」



――「信用できるかどうか見極める」とはどういうことですか?



「残念ながら、輸出先から依頼を受けて自動車を購入してみたのものの、なかなか取引先からお金を払ってもらえないことは少なくありません。値下げの交渉をあらためてされてしまうこともあります。日本の常識は通じませんので、相手を見極める目や交渉能力が必須になるのです」



――中古車輸出ビジネスに参入したい方にメッセージをお願いします。



「まず、輸出したい国を見に行ってください。自分の目で見て、街の様子を肌で感じることが大切なのです。誰かに紹介してもらう形で、現地を見学できるとさらに良いでしょう。そして、取引先とのコミュニケーション能力が必須になるわけですが、そうすぐには、身につきません。だから、何かトラブルがあって損したときも、自分の責任だと考えられることが大切だと思います」



コミュニケーション能力はどんな仕事にも必要なものかもしれませんが、中古車輸出はとりわけ難易度が高そうですね。塩田さん、どうもありがとうございました。



取材協力:経済産業省認可 日本中古車輸出業共同組合

http://www.jumvea.or.jp/jpn/



(OFFICE-SANGA 臼村さおり)