65歳まで会社にぶら下がり続ける方法は

■リストラ面談の3大禁句

65歳まで会社にぶら下がりたい人にとって、1つ目の関門は「リストラ」だ。リストラはいまやサラリーマンにとって、定年退職と同じ“宿命”である。

「うちは赤字会社じゃないし、自分は若くて仕事の業績もいいから、リストラなんて無縁」というのは典型的な勘違いだ。会社は黒字だろうとリストラに踏み切る。成果主義人事では若手でもコストパフォーマンスが低い社員が多いし、現時点で有能でも環境の変化で簡単にダメ社員化する。

第一の備えは、情報をいち早くキャッチするための社内人脈づくりだ。リストラには必ず前兆があり、社内のひそひそ話が増えてくる。それを早く手に入れられるかどうかで、その後の対応の早さが決まる。このとき、重層的な人間関係を築いてきた人は強い。社内人脈は、上司の上司など役職者の傘下に入れば広がるが、それと同時にさまざまな立場の人が集まる空間に顔を出すようにしたい。

例えば、最近増えている弁当仲間。ランチタイムは職位など気にせず話せるし、女子社員が多いから意外なルートからの耳寄りな情報が入ってくる。喫煙ルームも社内人脈の宝庫だ。喫煙者は肩身が狭いから、仲間意識が芽生えやすく、「ここだけの話」が飛び交う。

そんなおしゃべり空間はギブ&テークで成り立つ。「あいつは情報が早くて豊富だ」と評判になればしめたものだ。平社員でも重宝され、さらにいい情報をゲットでき、社内の認知度を高めてくれる。リストラが実施されたとき、この認知度がプラスに働くのだ。

リストラでは人事部と上司が事前に相談し、ABCと社員のランク付けをする。Aは残ってほしい人材、Cは不要、Bはその中間である。あなたがもしボーダーラインにいるなら、社内認知度が高ければCからBへ、BからAへと格上げされる可能性がある。社内で孤立した人の肩は叩きやすいが、認知度の高い人は叩きにくいのだ。

自分のマイナス情報を発信するのも効果的だ。リストラ策には期限と予算があり、人事部にはノルマが設定される。だから説得に手間どる社員、トラブルが発生しそうな社員は後回しにする。「まだ子どもが小さい」「住宅ローンが残っている」「キレると何するかわからない」「親戚に弁護士がいる」「マスコミに友人がいる」などは、会社が敬遠したがる人物の要件だ。そうした情報をあえて流しておくとよい。

面談の席でも「こいつは手強い」と印象づける。基本は、堂々と記録を取ること。ノートを広げ、相手の発言を漏らさずメモする。嫌がられても「社外のユニオンに相談するときの資料ですから」と突っぱねる。その一方で、ICレコーダーで隠し録りもしておきたい。

面談での鉄則は次の3つだ。

(1)その場で返答しない
(2)相手のペースに引き込まれない
(3)既成事実をつくらせない

人事部と上司に返事を迫られても無言を通す。特に「考えておきます」「女房と相談します」「会社の状況は理解できます」は3大禁句だ。すぐ職場で吹聴され、「彼は辞める気だ」と既成事実をつくられてしまう。日頃からこうした“手強い相手”となるテクニックを磨いておきたい。

2つ目の関門は「定年」だ。いまのところ、希望者全員が再雇用されて会社に残れるわけではない。

備えは50歳前後からはじめる。まず、職場では部下でも年下でも「さん」づけで話すようにする。定年後、年下の上司を「○○くん」と呼ぶような勘違いは最悪だ。

見た目にも気を使う。ジム通いなどで黒い肌、白い歯、引き締まった肉体を維持する。白髪は染めて、老眼鏡はやめる。服装はいつも身ぎれいにし、会話でも病気、孫自慢、昔話は3大ダメ話題だ。

定年後を生き抜くには、「あの人がいるから仕事がうまくいく」と上司に思わせること。そのためには、仕事の肝になる部分は絶対にマニュアル化しない。若い人にも教えない。そうすれば70歳になっても周囲から「もっと頑張ってください」と言われるにちがいない。

■自分がリストラされる兆候チェック表

※砂山擴三郎氏の著書『仕事のできるあなたが、なぜリストラされるのか』より抜粋

●上司の態度

□今までうるさく指示や注意をしていたのがなくなる
□目を逸らす、愛想笑い、お世辞、優しくなる
□残業は指示しなくなる

●仕事状況

□横断的プロジェクト、チーム業務から外れる
□担当業務の一部を後輩に引き継ぐ
□業務マニュアルの作成、見直しの指示がある

●人事処遇

□役職を外される
□賃金カット
□休暇を取るようによく言われる

●周囲の対応

□飲み会に誘われなくなる
□目配せされる、意味もなく笑われる

●その他

□個人的状況(家族、住まいやローンの状況)を聞かれる
□同じ系列の出身者が退職する

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キャリアコンサルタント 
砂山擴三郎 
1943年生まれ。大阪大学卒。大手企業で人事・総務畑を歩き、人材会社を経て独立、企業のリストラを手伝う。

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(キャリアコンサルタント 砂山擴三郎 構成=伊田欣司 撮影=永井 浩)