<この記事はAP通信社のニコール・エヴァット氏による記事です>

米ニューヨーク−−マイケル・ムーア監督が銃規制を訴える映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』を発表してから10年以上が経過したが、現在でも学校内でのこうした銃による悲劇が続いており、映画を発表してから大して進歩していないことについて嘆きのコメントを発表した。ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞に出席したムーア監督は、「(映画から)10年後の今、こうしてこの場に立って自分の映画が役に立たなかったと言わなければいけない日が来るなんて思わなかった。本当に心を痛めている」とコメント。

2002年にムーア監督が発表した『ボウリング...』は、1999年にコロラド州のコロンバイン高校で起きた銃乱射事件を題材にした映画だが、ムーア監督は先月コネティカット州ニュータウンのサンディー・フック小学校で20人の生徒と6人の大人が射殺された銃乱射事件を映画の題材にするつもりはないとした。

「『ボウリング...』で表現したいことをやりきった。あの映画の一言一句が、今でも意味を持っていると思う。でもそれは非常に悲しい事実だ」

サンディー・フック小学校での銃乱射事件によって、米国内では再び銃規制についての議論が活性化している。バラク・オバマ大統領はジョセフ・バイデン副大統領を担当に任命しているが、ムーア監督は特定の武器を禁止する必要があるとし、銃の所持もライセンス制にするべきだとした。

「すぐに取り掛かるべきことは、殺傷用武器とセミオートマチックの銃器、そして10発以上装填(そうてん)できるマガジン(弾倉(だんそう)、銃の部品の1つ)を禁止すること。まずはここから始めなければならない。あと銃の所持はライセンス制にするべきだ。犬を飼うのにライセンスが必要だし、車に乗るのにもライセンスが必要だ。美容師にだってライセンスがある...。でも銃には必要ないというのはどういうことだろう?」

またムーア監督は、アメリカの暴力問題は銃規制よりももっと深い部分に原因があるとした。

「我々は暴力的な人間だ。我々アメリカ人は人を殺しても良いと思っているんだ。911のテロと全く関係ない国を侵略しても良いと思っていて、ウサマ・ビン・ラーディンが住んでいる国を侵略しても良いと思っている。そして実際その国にウサマはいなかった。つまり我々は勝手に他国に侵入して人を殺している。そして我々は死刑も認めている。私は別におかしな人たちのことについて話しているのではない。我々が生み出した、自国の政府について話している。人を殺しても良いとみんなが考えているということだ。だから同じ社会に生きる誰かが、『今日は誰かを殺したい気分だな!』と言い出しても実は何もおかしくはないということになる。まずは自分たちを見つめ直すことが必要だ」

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