もう時代遅れ!? 暴走族が減少したワケ




暴走族といえば、特攻服に身を固め、派手なリーゼントが象徴的。1980年ごろには、全国のどこでも隊列をなして暴れまわる姿がみられたのですが、近ごろではその姿もめっきりと減って、かつての面影はありませんよね。元暴走族のM君の話によると、警察庁の科学捜査の一環で、暗視カメラがあちこちに設置され、検挙率が高まったことが原因というウワサがあるとか。そこで、法政大学「犯罪心理学研究室」の越智啓太教授に真相をうかがいました。



■暗視カメラのウワサは都市伝説だった!



――警察庁に問い合わせたところ、「TV番組で取り上げているような赤外線カメラ設置は単なる都市伝説ですよ」という回答でした。では、どうして暴走族は減少したのでしょうか。



「2004年に道路交通法の改正がありました。それまで暴走行為を検挙するには、被害者の証言が必要だったわけですが、警察官の現認だけで検挙できるようになったといういきさつがあります。暗視カメラで一斉検挙というウワサは、この道路交通法の改正からきていると思いますね」



――すると、暴走族減少の原因は、道路交通法改正によるということですか?



「暴走族自体のスタイルが、時代により変遷するということもあげられますね。1981(昭和56)年ごろは、いわゆる右翼系スタイルの暴走族が不良にとってカッコいい存在だったんです。しかし、1989(平成元)年ごろになると、東京の都市部を中心に『チーマー』という不良グループが出現しました。



映画の『ウォリアーズ』に刺激された若者が、ちょっとファッショナブルな『チーマースタイル』に憧れて、既存の暴走族スタイルがダサく感じるようになり、暴走族を離れる若者が増加したんですね」



――えっ!? 暴走族にも流行があるんですか? 変遷と言うと、ほかにもあるんでしょうか?



「首都高速を舞台にした『首都高バトル』というゲームや、『湾岸ミッドナイト』というアニメの影響があり、2001(平成13)年ごろには『違法競争型』と呼ばれる暴走族『ルーレット族』が東京の首都高を中心に現れました。



スタートダッシュを競う『ゼロヨン族』、ドリフトを競い合う『ドリフト族』、大阪方面では『環状族』など。



いずれも以前のような『共同危険型暴走族』ではなく、俗に『走り屋』と呼ばれるドライビングテクニックを競い合うグループです」



――でも、その競争型暴走族も今はあまりみかけませんね。



「暴走族がはやり出すきっかけは、いずれもファッション性です。漫画や映画のはやりなどにより、カッコいいとはやり出してグループに加わるものの、次第に暴力団が絡んだり、グループの体質が悪質化してしまう傾向にあり、ついていけなくなった若者が次々に脱退します。そして、2、3年で終焉を遂げしまうわけです」



――なるほど。ファッション性に引かれたつもりが本末転倒になり、次第に重荷になってくるわけですね。



「ここのところの極端な減少傾向の原因は、車の免許を取得する若者が減ったという若者意識にもあります。若者が車のメカニックに関心があって、『車いじり』をステータスにしていた時代もありましたが、カッコ良さの基準や興味の対象が変化してきたんでしょうね」



■暴走族も不況にはお手上げ!?



ここ最近の暴走族離れの理由のひとつは、若者が車に魅力を感じなくなったという事情が挙げられるようです。違法行為の罰金だって、懐に厳しい時代。反社会的行為がカッコ良さにつながるというイメージも、このせちがらい世の中にはそぐわないのかもしれませんね。



そういえば、暴走族の人のコメントで「高価な単車が買えなくなったから辞めた」という、潔い話も聞いたことがあります。興味より実利をとっているとは!



いずれにしても、反社会行為は罰則も厳しく、何より多くの人に迷惑をかけてしまいます。自分らしい「本物のカッコ良さ」をぜひ追求してください!



越智啓太(おちけいた)

法政大学文学部心理学科教授

警視庁科学捜査研究所研究員を経て、現在法政大学文学部心理学科教授として教鞭をとる。専門は犯罪心理学。「progress and application 犯罪心理学」(サイエンス社)、「犯罪捜査の心理学」(化学同人)、「犯罪心理学」(朝倉書店)など、著書多数。



(OFFICE-SANGA 安藤のり子)