人を通して本を知る、本を通して人を知る。「ビブリオバトル」の魅力とは?




参加者が読んでおもしろいと思った本をプレゼンしあい、一番読んでみたいと観客が思った本が勝利となる「ビブリオバトル」。「本を通して人を知る」というキャッチコピーがあるように、誰でも楽しめ、本を通して新たな発見や出会いができるイベントとして定着しつつあります。



■ビブリオバトルとは?



参加者たちが「これはおもしろい」と思った本についての書評を5分間行い、その後、2〜3分のディスカッションタイムが設けられる。その上で「どの本が一番読みたくなったか?」を参加者全員で投票し、優勝を決める。



プレゼンではレジュメを用意したり、原稿を読むのは禁止。あくまで自分の声で本の魅力を伝える必要がある。



現在、大学や高校などの教育現場を中心に、全国各地で開催されており、秋に東京・秋葉原で開催された「ビブリオバトル首都決戦2012」では、524名が参加した全国での予選を勝ち抜いた32人の学生が出場。上智大学総合人間科学部4年の鷹野宣章さんが優勝した。



今回は12月16日、紀伊國屋書店の新宿南店で開催された「ビブリオバトル in紀伊國屋」におじゃまさせていただき、ビブリオバトルの普及委員でもある、紀伊國屋書店の瀬部(せべ)貴行さんにお話をうかがいました。



■誰でも参加できる手軽さが魅力



――ズバリ、ビブリオバトルの魅力とは?



瀬部 小学生から大人まで、誰でも楽しめるのが一番の魅力です。こういうイベントだけでなく、例えばこたつでみかんを食べながら、ご家庭で「じゃあビブリオバトルをやろう」というのもOKです。



また「人を通して本を知る」という言葉にあるように、ビブリオバトルでは参加者の方が、さまざまなジャンルの本をプレゼンします。新書や文学などのスタンダードなものから、科学、漫画、絵本、さらにはオカルトまで。



ありとあらゆる本が紹介されるので、ビブリオバトルに参加あるいは見学することで、今まで触れてこなかったジャンルの本に触れ合えるきっかけにもなります。



――そこで買って後悔しない本や、一生モノの本に出会える可能性もあるわけですね。



瀬部 はい、そうだと思います。それと「本を通して人を知る」というコピーがありますが、プレゼンやイベントを通して人と人とのつながりが増えるのも、ビブリオバトルの魅力のひとつです。紀伊國屋書店で開催したビブリオバトルでも、これまでに100名以上のお客さまにご参加いただき、たくさんの読書好きの方とお知り合いになれました。



――今回のビブリオバトルでも、参加者や見学者の方々がとても和気あいあいとした感じで盛り上がっていたのが、とても印象的でした。



瀬部 ビブリオバトルに参加すると、お互いにどういう本が好きなのかがわかり、そこから話が盛り上がります。その人の読書量が多い少ないにかかわらず、本について語り合うと、すぐに親しくなることができます。



またそこから読みたくなる本をおすすめしあって、どんどん本との出会いも増えていきます。



■「ビブリオバトル」は楽しい雰囲気でチャンプを決める



――5分間のプレゼンの後に2分間の質問タイムがありますが、そこでは発表内容の揚げ足を取ったり、批判するようなことはなく、発表時にわからなかった点を補足で聞いたり、審査するための情報を聞いていましたね。



瀬部 公式ルールにも、「全参加者が、その場が楽しい場となるように配慮する」とあります。そんな楽しい雰囲気のなかでも、「バトル」と称して「チャンプ本」を決めているのは、「その場に参加した皆さんが、本や知識との出会いを楽しめる場」を目指しているからです。



発表者がおもしろそうな本を持ってきて、それをちゃんと楽しく紹介したら、みんなが「その本、読みたくなった!」と投票して決める「チャンプ本」という要素が加わることで、ゲームの興奮も加わって、より楽しみが増すものと考えております。



――今後のビブリオバトルの展開について教えてください。



瀬部 紀伊國屋書店新宿南店では、今後も定期的にビブリオバトルを開催していく予定です。また、普及委員会に所属するメンバーは全国各地にいて、さまざまな場所で開催していますので、ぜひお近くで開催されるビブリオバトルに気軽に参加していただきたいです。



今回の「ビブリオバトル in紀伊國屋書店」では、2012年にチャンプ本を獲得した歴戦のビブリオバトラーが勢ぞろい。合計2ゲーム行われ、第1ゲームはSF作家・鈴木いづみさんの短編集をプレゼンした榎村航司さん、第2ゲームは安藤光雅著の絵本『ふしぎなたね』をプレゼンした、鈴木貴三さんがそれぞれチャンプ本を獲得しました。



現役の大学生である榎村さんは、ゼミの先生から鈴木いづみさんの本を紹介され、「もっと多くの人に彼女のことを知ってほしい」という思いから、短編集をプレゼン本にチョイスしたそうです。



安藤さんはお子さんのために図書館でたくさんの絵本を借りていますが、その中で、「今年特に印象に残った本」として、『ふしぎなたね』をプレゼンしました。



プレゼンでは、今まで自分が興味なかった分野の本の魅力が存分に語られており、「こういうのも読んでみよう」という新しい本との出会いのきっかけを与えてくれます。皆さんもご家族・ご友人と「ビブリオバトル」をやってみてはいかがでしょうか。



例えば、自分が尊敬する人の「人生を変えた1冊」を読んで、その人がどこに感動し、それをどのように糧にしたのかをプレゼンすれば、それが「自分の人生を変えた1冊」にもなるはずです。



ほかにも、「無名の作家だけど版を重ねている作品」や「お気に入りの作家の初期作品」も、一生モノの本となる魅力が詰まっていそうですね。



(参考サイト)

※全国のビブリオバトル開催情報は、公式サイトでご確認ください。

知的書評合戦ビブリオバトル 公式ウェブサイト http://www.bibliobattle.jp/home



(OFFICE-SANGA 春名晃平)