「線路に人が立ち入りました」はウソだった!? 知られざるギョーカイ隠語の世界




飲食店では、お客さまの前で「トイレ」とは言わず、「横浜」「三番」などの隠語を使うそうです。今回は、その業界の人にしかわからない隠語をご紹介しましょう。耳にしたことはあるけれど、意味がわからなかった言葉の知られざる用法に迫ります。



■プロは隠語を使わない! 鉄道編



最初は、通勤でも活用する電車にまつわる隠語です。鉄道会社に勤めるKさんにお話をうかがいました。



――鉄道業界ならではの隠語があれば、教えてください。



「『線路に人が立ち入った』『車内点検のため』という理由で電車が止まることがあると思います。それは、時には『痴漢が逃げた』という隠語でもあるのです。ただ、鉄道会社によって異なりますし、必ずしも痴漢が原因とは限りません。本当にお客さまが線路に立ち入るケースもあります」



――どうして「痴漢」といわないのでしょうか。イメージの問題ですか?



「警察につかまって初めて『痴漢』になるからです。乗客から報告があっても、その人が痴漢かどうかは警察が判断します。そのため、痴漢のことは『迷惑行為』『車トラ(社内トラブル)』などといわれますね」



――これから車内アナウンスを聞くたびに、意識してしまいそう。鉄道業界には、ほかにも隠語がたくさんありそうですね。



「そう思われることが多いのですが、現場で使うことはほとんどないですよ。例えば、人身事故のことをネットでは『グモる』ということもあるようですが、使ったことはないですね。人身事故は人身事故。わかりやすい言葉を使うようになっています。



また、ご遺体を『マグロ』というのも、今では使われていません。いろいろな隠語があった時代もありましたが、若い世代では知らない人もいるほどです」



鉄道関係の隠語を使う鉄ちゃん(鉄道マニア)も多いそうですが、現場の人が聞くと「知ったかぶり」だと思われてしまうようです。



■太郎と花子は招かれざる客!? 飲食店編



続いて、身近な存在であるファミレスの隠語について、Yさんに教えていただきました。



――飲食店では、「トイレ」といわないようですね。



「お食事をするところですから、お客さまはトイレという単語をできるだけ耳にしたくないと思うんですよね。そのような配慮からうまれたのだと思います」



――Yさんのお店では、トイレをどのように言いますか?



「『三番』です。ちなみに、1時間休憩は『一番』、30分休憩は『二番』です」



――中には「横浜」という店もあるとか。



「それは、横浜の市外局番『045』からきています。0を『お』、4を『し』と読むと……」



――なるほど(笑)。由来はかなりストレートなのですね。ほかにも何かありますか?



「私の店では特にないです。お店によっては、ネズミやゴキブリのことを『太郎』『花子』ということもあるようですよ」



これから食事中にこの名前を聞いたら、ドキッとしてしまいます。ちなみに、都会のネズミは巨大化することもあるので、Yさんのチームでは「猫」と呼んでいるそうです。



■不審者さま、お客さまがお待ちです デパート編



最後は、アパレルショップの店長・Sさんにインタビューしました。



――アパレル独特の隠語はあるのでしょうか?



「業界ならでは、というよりも、テナントの入っているデパートやショッピングビルの隠語を使うことが多いですね。異動するたびに覚えなくてはいけないので、混乱することもあります」



――デパートでは、どのような隠語を使いますか?



「例えば、不審者が入店したときには、警戒する意味を込めて特定の名前を呼び出すアナウンスを流すことがあります。BGMを変えて館内に知らせるデパートもありました。雨が降ると傘袋などの準備のためにBGMを変えることは知られていますが、不審者についてはあまり知られていないのでは?」



――ちなみに、どのような曲なのでしょうか?



「具体的な曲名は安全面の問題で教えられませんが、皆さんもよく知っている曲ですよ。その曲がかかると店員さんの行動が変わるのでわかるのでは?」



とはいえ、不審者がたびたび登場することはないので、その光景を目にすることはほとんどないとか。



買い物したり、食事をしたりしているとき、実は隠語が飛び交っていることがわかりました。これからは、店員さんたちの会話に耳を傾けてしまいそうです。



(OFFICE-SANGA 丸部りぃ)