為替市場で急激な円高が進行している。円は、12年10月の上旬は1ドル=77円台だったが、約3か月で1ドル=88円台まで、何と10円以上も円安となった。対ドルでの円の下落幅は14%以上となっている。つまり、この間、米ドルおよび米ドル建ての金融資産を保有している人は、何もしなくとも14%資産価値がアップしたことになる。年率に換算すると50%以上だ。

 こうした為替相場での円の下落を目の当たりにすると、これまで海外投資に興味の無かった人でも、「海外投資をやってみようか」という気分になる人が多いのではないだろうか。そこで、資産運用の経験が浅い人が海外投資をする場合、最も手軽に行なえる外貨預金について解説をしたい。最近、外貨預金の為替手数料を引き下げる銀行が増えており、一段と利用しやすくなっているからだ。

■外貨預金で有利なのはネット銀行

 そもそも外貨預金とは、円を米ドルやユーロなどの外国通貨に交換し、交換した外貨で預金することだ。普通預金と定期預金があり、預けた外貨には一定の利息が付く。昨年までは、長期的な円高傾向が続いため、例えば、米ドルの外貨預金をしていても、円安による為替差益は期待薄だった。そこで、海外の高金利を狙って外貨預金をしていたわけだが、海外の主要国の金利も軒並み低下してしまい、高金利のメリットが減少。それと共に、外貨預金の人気も低下する一方だった。

 現在、海外主要国の金利には、それほど変化は見られず、高金利メリットは減少したまま。しかし、ここにきての急激な円の下落で、金融市場の中長期的な為替差益への期待感が大きくなっている。その結果、外貨預金の人気が復活しつつある、というわけだ。外貨預金は、銀行などの金融機関が取り扱っているが、有利なのはネット銀行。金利に関してはそれほどの違いがないが、手数料が大きく違っている。外貨預金を行なう際、外貨を交換するための為替手数料がかかるが、この為替手数料に大きな開きがあるのだ。

 メガバンクの場合、円の米ドルへの為替手数料は1円、米ドルから円に戻す手数料も1円かかり、往復で2円の為替手数料が必要。ネット銀行は、片道50銭以下のところがほとんどで、メガバンクの半分以下。為替手数料は安ければ安いほどお得となり、運用利回りに大きく影響する。特に、金利の差がない現状では、なるべく為替手数料の低い銀行を選ぶのが基本だ。

■ネット銀行各行が手数料を引き下げ

 ソニー銀行は、もともと為替手数料が低かったが、昨年12月に全面的な引き下げを実施した。主要通貨の引き下げ幅は以下のとおりとなっている(すべて片道の手数料)。

●米ドル   1米ドルあたり   25 銭→15 銭 (10銭引き下げ)
●ユーロ   1ユーロあたり   25 銭→15 銭 (10銭引き下げ)
●英ポンド  1英ポンドあたり  50 銭→45 銭 (5銭引き下げ)
●豪ドル   1豪ドルあたり   50 銭→45 銭 (5銭引き下げ)

 また、住信SBIネット銀行は、昨年末に?衝撃的な?引き下げを行なった。

●米ドル   1米ドルあたり   20銭→9 銭 (11銭引き下げ)
●ユーロ   1ユーロあたり   20 銭→15銭 (5銭引き下げ)
●英ポンド  1英ポンドあたり  50 銭→40銭 (10銭引き下げ)
●豪ドル   1豪ドルあたり   50 銭→40銭 (10銭引き下げ)

ソニー銀行は、為替手数料については残高などで優遇条件を設定していて、最も優遇された場合は、「1米ドルあたり8銭」になるが、現状では、住信SBIネット銀行の手数料は?最安水準?といって差し支えないだろう。

 また、上記2行以外では、昨年10月末、じぶん銀行が中国人民元建ての外貨預金の為替手数料を引下げている。1中国元あたり片道40銭を20銭引き下げて20銭としている。このほか、じぶん銀行は、国内で初めて中国人民元の外貨預金をスタート。その後、いくつかの銀行が中国元建ての外貨預金の取り扱いを始めたが、手数料ではじぶん銀行が最安水準だろう。

 外貨預金は、交換した外貨に対して、円が上昇すれば為替差損が発生し、預けた資金=元本が減る、「元本割れ」が生じることに注意してほしい。したがって、外貨預金をする場合は、資産の配分に気を付けたい。上限は、余裕資金の3分の1が目安となるだろう。

 おそらく、為替市場における円安は、まだまだ始まったばかりの状態。今からでも、為替差益が得られるチャンスは十分にある。一度に資金を投入することに不安のある人は、購入時期を分散させるという手もあるので、検討してみる価値はあるだろう。

(文/松岡賢治)

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。