【レトロ少女漫画を語る】第2回 家庭教師のおにーちゃんに、金髪外人の転校生『日曜日はげんき!!』

今回語るのは、ボーイッシュなヒロインのセッチと、家庭教師のメガネをかけた幼なじみの大学生のおにーちゃんと、ある日、転校してきた金髪外人の美少女と美少年の兄妹などが活躍するという、ある意味、青春学園ドラマ漫画の典型を描いた漫画『日曜日はげんき!!』です。もちろん、クラスメイトの少年との恋愛の三角関係(それどころではない)もあります。

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沖倉利津子先生は『家なき子』のコミックスなどを描かれています。この『日曜日はげんき!!』は、セッチシリーズの第1作目です。

ヒロインのセッチ(武田世津子)は中学1年の女の子で野球をやっています。表紙は、バットを持って構えている姿ですね。全体的にデザインが綺麗で、色合いや構図のバランスも良く、筆者の好きな表紙の一つです。グローブのワンポイントや、キャップの文字や、バットの木目や、レトロな模様の黄色いシャツや、ジャンパーやスニーカーなど整っていて素敵だと思います。足が長いですね。散らばった星も綺麗です。

特筆すべきは、愛らしいキャラクターと、緻密な絵だと思います。キャラクターに嫌味がありません。また、部屋のカーテンのブタさん模様や、壁に貼られた「P-98」拳銃の絵や、車や、コーヒーカップや、デザインが綺麗な服など、緻密に描かれています。少女漫画といえば、人物の背景の大きな花の絵でしょう。こちらも健在です。

内容ですが、セッチがおなじクラスの川中島くんに恋して。セッチの親友のえみちゃんも川中島くんに恋しているという。少女漫画の典型的な三角関係を描いています。しかし、それだけではなくセッチがモテモテで。家庭教師のメガネをかけた幼なじみの大学生のおにーちゃんや、転校してきた金髪外人の男の子からも好意的に見られています。ああ……家庭教師との禁断の愛。結末は本を読まれて確認してください。

とにかく、キャラがたっています。そして優しいです。みんな、影からセッチを見守っています。家庭教師のおにーちゃんが優男ですが「セッチ。他人の肉体の欠点をののしることはとってもいけないことだよ」など、言う時は言うのでカッコよくて。ちなみにセブンスターをたいてい吸っています。金髪外人少女のウェンズディも、そばかすがチャーミングで可愛いです。えみちゃんもおとなしくて小さくて可愛いのです。セッチが男勝りで、物怖じせずに言うという部分も、爽快です。

沖倉利津子先生は、槇村さとる先生のアシスタントを務められていたそうで、そういったタッチや、美内すずえ先生や池田理代子先生や山本鈴美香先生のようなタッチの絵も見受けられます。

青春漫画ということで、少年少女へのメッセージ性もあり、大人が読むにも足ると思います。また、個性やアート性が強い一作だと思います。この本は1978年が初版ということで、生徒会ではありますが政治色があり、登場人物が活動的ですね。

書 名/日曜日はげんき!!
著者名/沖倉利津子
出版元/集英社
定 価/340円
初版発行日/1978年4月20日

(文:川上竜之介)