年収1500万円以上に顕著な行動パターンベスト3

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人に対する心遣いが苦手な人、気を遣ったつもりが“いらぬお節介”になってしまう人は必見! 誰もが認めるハイパフォーマーたちの“絶妙な気配り”を紹介する。

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調査概要/10年10月19〜20日、マクロミルを通じて40歳以上の経営トップを除く会社員、公務員を対象にインターネットアンケートを実施。有効回答数は618人。うち、年収500万〜699万円が309人、年収1500万円以上が309人。

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顧客、取引先、上司、部下を味方につけて「いい仕事」を完遂させるのに必要な条件とは何だろうか。人を味方につけるには、何といっても相手を理解し、気持ちよく動いてもらわなければならない。そのためには、相手をよく見て、個別に心を砕くことが必要になる。

そこで、日常の仕事の中で、周囲を味方につけるために人々がどんな行動をとっているのかをアンケートによって調査し、年収1500万円の層(以下1500万円社員)と年収500万〜699万円の層(以下600万円社員)とを比較・分析することにした。

今回の会社員、公務員618人に対する調査では、1500万円社員は600万円社員に比べて、より積極的に周囲に気配りをしていることがわかった。気配りをビジネススキルとして活かしていると言い換えてもいい。

■誤りを指摘するのも気配りのひとつ

まず、1500万円社員に顕著に見られた行動パターンベスト3を見ていこう。

1位は「定期的に部下と面談をする」。これはいつでも話を聞くという「オープンスタンス」の具体的な場をつくり実行していることを意味している。言葉では「いつでも話を聞くぞ」と言っていても、実際に話をする機会をつくらなければ、部下の心は開かれない。1500万円社員の半数以上である53.7%が部下と面談する機会を定期的につくっている。一方600万円社員は28.8%にすぎない。

部下は意外に“遠慮深い”のである。こんなエピソードがある。ある管理職は隣の席にいる女性スタッフと意思の疎通ができていると思っていた。彼女は気軽に話しかけてくるタイプだったからだ。ところが年1回の人事面接をしたところ、普段聞かされていない話が山のように出てきたという。上司と部下という関係に限らず、人には「その場」でなければ言えないことがある。そこで会社では「言いたいことが言える場」をつくる仕組みが必要になる。それが定期面談というわけだ(今回の600万円の社員の役職内訳は、部長クラスが10.4%、課長クラスが22.7%、係長クラスが24.3%で、管理職が半数を超えている。また、スタッフ職38.8%の人々の中にも、マネジメントを担う人材が含まれている)。

第2位は「自分の企画・アイデアを通すために根回しをする」。1500万円社員の56.6%が行っているが、600万円社員は36.6%にすぎない。根回しは日本の会社特有の悪弊のように受け止められる一面がある。確かに会議の前に出席者全員に根回しが済んでいて結論も出ており、会議では説明を繰り返して採決するだけというやり方は時間のムダでしかない。会社によっては根回し禁止、会議で一から議論して決めるという方針のところもある。

とはいっても、会議の最大の意思決定者に話を通しておくことは企画を通すうえで必要なことである。このとき、意思決定者が一番上位の役職者とは限らないので見極めが重要である。担当役員を説得すれば企画が通ると思っていたら、実は次長が仕切りのキーパーソンだったという経験は誰にでもあるのではないだろうか。根回しするときには、自分の企画を支持してくれるキーパーソンと、反対勢力のキーパーソンを押さえておく。事前に熱意を伝えて承認をもらっておけば、反対勢力のキーパーソンも賛成せずとも反対はしなくなり企画は通りやすくなる。

第3位は「誤った考えだと思ったら、はっきり指摘する」だった。1500万円社員では63.1%が「指摘する」と答えている。600万円社員では遠慮が先に立つのか45.6%である。

上司の言うことを何でも聞いているほうがいい評価を得られるというのは、現実とは違っている。人事の査定会議では、自分の考えをしっかり持ちTPOに応じて主張する人のほうが高い評価を受けられる。

上司も人間、時として間違うものである。情や好き嫌いで判断してしまうこともあるだろう。そこを会社経営や顧客の観点から指摘すれば、上司も過ちに気がつき「骨のあるやつだ」という評価を下す。必要ならば反論するが、感情的には対立しないよう配慮する。部下が上司を動かすというフォロワーシップを発揮するわけである。実は、それは、上司に誤った判断による致命傷を与えないための「気配り」でもある。

また過ちを指摘した人物に部下がいる場合、その部下たちは彼を「できる上司」と判断する。できる上司に部下はついていくが、単なるイエスマンでは部下の支持は得られない。勇気を持って会社や顧客の観点から過ちを指摘することは重要なことなのである。

ベスト3を見ても「気配り」の大切さを理解していただけたと思う。このあとは、個別の調査結果を分析していこう。

■商談前に靴を磨いているか

商談の第一歩はアポとりから始まる。1500万円社員はアポとりの段階から商談が始まっていることを心得ていて、自分の仕事の効率を考えている。それが顕著に表れたのが「相手先への訪問日時の決め方」(図1)である。1500万円社員の35.6%が、自分のスケジュールに影響を与えないように都合のいい複数の日時を提示して選んでもらう方法を採っている。この時点ですでに心理的に優位に立てる。相手の都合を優先させるにしても、24.5%が「相手に複数の日時を指定してもらう」と答えている。この方法は相手の都合に合わせているように見えるが、最終的に訪問日時を決めているのは自分なのである。

一方、「相手の都合にすべて合わせる」との回答は600万円社員のほうが多い。1500万円社員が4.7%なのに対し11.9%もいる。商談相手のいいなりになり、振り回されている姿が浮かぶ。

取引先に好印象を与えるために、商談やプレゼン前に身だしなみを整えることが大切なことは誰でも知っている。そのため「身だしなみを整えていますか」という質問に対しては大半の人が「はい」と答えている。ところが一歩踏み込んで「商談、社外プレゼン前に靴を磨きますか」と聞くと、1500万円社員の55.3%が「はい」と答えたのに対し、600万円社員は43.5%(図2)。つまり「身だしなみを整える」という漠然とした意識を、「靴を磨く」といった具体的な行動に転換できる人のほうが成功していると考えられる。

商談やプレゼンの進め方に関する自由回答を見ると、600万円社員には「明るい印象を保つ」「メリハリをつける」という答えが目立った。確かにその通りだが、この答えからは自分のことで手一杯で、相手のことに意識が及んでいない様子がうかがえる。その点1500万円社員はプレゼン中に「相手の真意を探る」「何を考えているのかを探り出す」ことを考えていて、説明に緩急をつけたり表現を変えるといった知恵を働かせて、相手の心に届くよう努力している。

ビジネスプランの3大要件は、顧客ニーズをつかむ、ニーズに合った商品を提供する、競合他社を想定する、である。前2者はできたとしても、競合を想定することはなかなかむずかしい。この調査でも、1500万円社員では31.2%(「あてはまる」の回答)が競合相手を想定して作戦を立て(図3)、自社の優位性をアピールしている。ところが600万円社員では競合相手を想定しているのは9.3%(同)にすぎず、ここでも自分のことで手一杯な様子がうかがえる。

商談で挨拶をすぐに切り上げて本題に入ると、売らんかなの姿勢があらわになってしまう。ある紳士服のトップセールスマンは、いかにして商談に入らずに相手とできる限り会話するかが勝負だと言う。話をしているうちに心の窓が開いていく。ところが、売れないセールスマンは、すぐに売ろうとしてしまう(図4)。初回と複数回では異なるので、そのままは比べられないが、事実600万円社員では76.6%が挨拶を早々に切り上げて商談に入っているのに対して、1500万円社員では67.1%。つまりは「場の空気」が読めるかどうかということにつながっていくだろう。商談に入る雰囲気が醸し出されてきたときにすかさず本題を切り出せれば成約率も高まる。

商談前のトークを盛り上げるためにも、1500万円社員の71.9%が「タイムリーな話題を仕入れておく」ことを心がけている(図5)。相手のひいきチームを調べておいてプロ野球やサッカーの勝ち負けの話題を振るとか、「メディアでは報道されていない重要な企業の動き」のような相手のビジネスに役立つ話題を振って「つかみ」にする。それが無理なら「御社の先日発売した新製品の売り上げはいかがですか」といった旬の話題を振って、相手に興味を持っていることを示せばいい。最悪の質問は「御社の業績はどうですか」などの平凡な話題。「そんなものはホームページを見ればわかるだろう」と相手は思ってしまう。

「相手のよいところを褒める」は1500万円社員の35.1%が実践している(図6)。これは相手に興味を持つ=好きになるということでもあり、相手からも好反応を引き出せる。商談やプレゼンに臨むときは、誰でもきっちり準備をするだろう。さまざまなシミュレーションを行って万全を期すが、大事なことはもっと人間味の部分であり、相手と心を通わせることができるかどうかなのである。

次は接待での気配りについて見ていく。1500万円社員の39.3%が「接待、会食では自分の行きつけの店を使う」と答えているのに対し、600万円社員は30.7%(図7)。“常識”では接待相手が好きな店を選ぶべきなのだろうが、接待の最終目的は相手の気持ちをほぐして商談に結びつけることである。ならば行きつけでわがままの利くホームグラウンドのほうが、自分自身がリラックスして優位に立てるし、突発的な出来事にも対処しやすい。逆に相手が好きな店を使うと相手に対して気を遣い、店に対して遠慮が出るという二重苦の中で商談を進めていくことになる。アウエーでは全力が出しにくい。

接待に関する調査では意外な姿も見えてきた。「事前に店側に希望を伝えておく」のは当たり前のことに思えるが、1500万円社員の80.3%が「伝える」と答えたのに対し、600万円社員は71.4%(図8)。料理を出すタイミング、相手の好き嫌い等を事前に店に伝えておいたほうがスマートな商談になるはずだが、600万円社員では3割近くが相手の趣味嗜好を把握せずに場当たり的に接待しているようだ。

※すべて雑誌掲載当時

 

(東京ガス西山経営研究所所長 西山昭彦 構成=山本信幸)