文化の違いがストレスを生む

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企業の海外進出が強化される中、ある「ビジネス隠語」がよく聞かれるようになったという。その言葉は「OKY(オーケーワイ)」。「お前が、来て、やってみろ」の略だ。現地の事情を知らない日本の本社から、理不尽な要求が来たときに口にするグチである。


海外駐在員の間では以前から言われていた言葉だが、アジア進出に苦労する日本企業の社員が増えるにつれて使用頻度が高まっているようだ。

「正直、日本人は細かいことにうるさすぎ」


中堅部品メーカーに勤める40代のAさん。語学力を買われて3年前に海外生産拠点の開拓を会社から命じられ、日本と東南アジア諸国を往復している。これまで国内営業本部の経験はあるが、海外勤務は初めてだ。


「特にいま伸び盛りの東南アジアでは、日本の常識がまったく通じないことがありますね。日本の本社にいたとき、海外駐在員から『まったくOKYな話だよ!』と言われたことを思い出しました」

いらだちの理由は2つある。1つは、現地の人間があまりにも「常識」を守らないためだ。


Aさんの会社では、90年代までの海外進出は北米と西欧が中心。海外ビジネスの流儀を取り入れ、日本人の仕事のやり方を欧米化することが課題だった。


しかし、今は逆。近代的なビジネスが定着していないアジアの流儀に、日本の会社が手を焼いている。重要な約束は破られるし、時間は守らないし、言うことは聞かないし、水道や電気などのインフラも未整備だ。


中国経済は絶好調、などの報道を見た役員から、「うちだってもっとやれるはずだろ!」と国際電話が来ることもあるが、「そんな簡単なもんじゃない」。


もう1つの理由は、日本のやり方が洗練されすぎて世界の「常識」に合わなくなっているためだ。製品のパッケージに貼るシールの位置が数ミリずれているだけで、日本の本社からクレームの電話がかかってくる。


「でもね、中国や米国はもちろん、ヨーロッパに出荷するときだって、そんなことで文句は言われないんですよ。正直、日本人は細かいことにうるさすぎます」

台湾やベトナム、インドや中東などでも


問題は、それにとどまらない。日本からの要求を強硬に守らせようとしても、現地の人たちから強い不満や反発が起きて、とても説得することができないのだという。


「結局、シールだけは私を含む日本人と少数の現地スタッフで貼りましたが、日本に帰ったときに本社に説明しないと、シャレにならない事態になる。まったくOKYな話なんです」

ブログやツイッターを検索すると、「OKY」という言葉は中国だけでなく、台湾やベトナム、マレーシアやインド、パキスタン、中東などでビジネスをしている日本人の間でも、広く使われているようだ。