“お金のお医者さん”として知られる「家計の見直し相談センター」の藤川太氏がお金に関する固定観念を解きほぐすマネーポスト連載「お金持ちの方程式」。今回は家計の固定費削減にあたって最大限の効果を発揮する「保険の見直し」について解説する。

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 家計を節約して資金を運用に回すためには、食費や小遣いといった日々のやりくり費よりも、銀行口座から毎月決まって引き落とされる「固定費」を削減する。それがお金持ちへの近道となります。

 固定費のなかで2大出費といわれるのが「住宅ローン」、そして今回紹介する「保険料」です。

 万が一の時に備えて加入している生命保険や損害保険の保険料を生涯の総支払額でみると、1000万円は下らないといわれます。賃貸暮らしで住宅ローンがないという方でも、多かれ少なかれ何らかの保険には加入しているはずです。つまり、ほとんどの家計にとって保険の見直しは絶大な効果を発揮することが期待できるものなのです。

 やや大げさにいえば、保険を見直さない限り、固定費の大幅な削減にはつながらず、お金持ちへの道は遠のく。まずはそのことを肝に銘じてほしいと思います。

 保険の見直しと一口にいっても、実はそのやり方は時代とともに変わってきています。かつては大手生保から保険料の安い保険会社に乗り換えるという手法で大幅な保険料の削減が見込めましたが、今やそれだけでは通用しなくなっているからです。

 それには2つの理由があって、まず外資系を中心としたカタカナ生保や通販型のネット生保が台頭してきたことで契約者の間で保険の見直しが進み、既存の大手生保がシェアを落としたことが挙げられます。

 それから特に若い世代を中心にそもそも保険に加入していない人たちが増えてきていることがあります。いうまでもなく、保険に入っていなければ見直しのしようもありません。

 そこで、まず、そもそも保険には入った方がいいのかどうか。そこから考えてみましょう。

 人間は生きている限り、さまざまなリスクに見舞われます。たとえば病気で家計の大黒柱が倒れ、亡くなってしまう。あるいは車を運転していて事故を起こしてしまった。さらには地震で家屋や命を失うという悲劇も私たちは目の当たりにしました。そのような人生を大きく狂わせるような事態に見舞われれば、経済的なリスクが生じます。

 万が一そうなった時に困らないように備えておくものが保険です。自分の人生で考え得るリスクがある限り、お金を払ってでも保険に入っておくことが賢明といえるのではないでしょうか。

 ただし、ここで気をつけたいのが、必要以上にリスクを警戒してしまうことです。保険会社のセールスなどは、心配事を強調して、なるべく多額の保険に入れようとします。

 たとえば、こんなやり方です。まず思いつく限りのリスクを並べ、それらに万全を期すため、さまざまな特約を盛り込んだセット商品を提示してきます。だからどうしても保険料が高くなる。そして、そこから少しでも保険料を安くしようとすれば、「この特約を外せば保険料はこれだけお安くなります」と教えてくれるが、少ししか安くならないので、結局は特約をつけておくか、と諦める。

 残念ながら、そのような“セールストークの罠”にはまるとなかなか抜け出せなくなる。しかし、その結果、後でよくよく考えてみると、実は本当に必要な保障というわけではなく、その分保険料も割高だったということが往々にしてあります。

 割高な保険に入らないためには、まず自分にとって本当に必要な保障は何かというところから考える。そのうえで最低限必要な保険を備えてはじめて賢い選択といえますし、それができればより効率的な保険の見直しが可能となるのです。

※マネーポスト2013年新春号