脚本家として映画「怪物くん」、テレビドラマ「妖怪人間ベム」、テレビアニメ「TIGER & BUNNY」のヒットで日経エンターテイメントにて「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー2012」準グランプリを受賞。2012年の12月には映画「妖怪人間ベム」が公開し、昨年には小説家デビューも果たした西田征史さん。最近ハマっている本や、青春時代の読書体験について話をうかがいました


 小説でいうと、最近はまた宮部みゆきさんが多いですね。つい先日は『スナーク狩り』と『レベル7』を読みました。やっぱり(宮部さんは)エンターテイメントしているなと。物語の構造がすごく好みなんです。あとは日本語の表現がやっぱりきれい。"物語の構造"と"素敵な日本語"の両方が読めて、すごくおいしいなといつも思いますね(西田征史さん)

宮部さん以外に、お気に入りの作家さんはいらっしゃいますか?

 高校生の時とかは、江國香織さんや川上弘美さんといった日本語の表現が独特で美しい方を率先して読んでいました。でも、構造を重視するか、日本語を重視するかという時期があって......それが順繰りになっているんですけど、ストーリーの構造を意識し出したのはやっぱり星新一さん。中学生くらいの時に「読書感想文が書きやすい」というありがちな理由で読み始めて、オチが効いているのがいいなあと思って。そこから高校生になって日本語に惹かれていき、もう一度構造に戻ってという具合。筒井康隆さんの作品はパンチがあって、構造と設定にひねりが効いていてハマっていきましたね。

「脚本家」というクリエイター視点で「やられた!」と思った本はありますか?

 宮部みゆきさんの『理由』は、僕がいつか書きたいと思っていたテーマそのものだったので「あぁ......先を越されちゃった」と涙しました(笑)。キャラクターが大事にされていて、ひとつひとつの行動にすべて意味があるところは本当に見事ですよね。バックボーンを考えて"理由"っていうのをすごく大事にしているんですね。大げさな話、人を殺すのに理由があれば正当化して殺せるわけじゃないですか。どんな犯罪でも理由があって、その理由を聞いた時にその犯行自体が悪だったのかもぶれてきちゃう部分があって、そういう作品をいつか書こうと思っていたのですが、宮部さんの『理由』を読んで書き出すのは今はやめてます。

 マンガを読まれることも多いという西田さん。子どもの頃は手塚治虫さんを愛読されていたそうですが、最近読まれている「大人になっても読みたいマンガ」といえば?

 『アイアムアヒーロー』ですかね。身近な人間がどんどんゾンビになっていくという......主人公は銃を撃つ免許を持っていて、猟銃を持っている彼が人を助けて英雄になっていく話なんですけど。そのなかでゾンビに堕ちる前の人間の葛藤があったり、すごくリアリティがあるじゃないですか、汗臭いというか。ひとりひとりに感情移入しつつ、いろんな目線で描かれていくので広がりがありますよね。(脚本を書くとき)連ドラとか映画って時間が決まっているので、話数を枠の中に収めることを考えてしまうんです。でもマンガは全何話って決まってなくて、好きに枝葉を伸ばしていっている感じが、読んでいてどっちに転がるのかわからない。その辺がすごく楽しいですね。


次回は、西田さんの著書や小説と脚本のちがいについてお聞きします。お楽しみに!

≪プロフィール≫
西田征史(にしだまさふみ)
1975年生まれ、東京都出身。お笑い芸人・俳優とマルチに活動したのち、2000年から脚本家として活動。ドラマ「怪物くん」、「妖怪人間ベム」など連続ドラマ及び映画等多くのヒット作を持ち、舞台の脚本・演出や、テレビ番組の構成など活動は多岐にわたる。2012年には初のオリジナル小説『小野寺の弟 小野寺の姉』を出版した。



『海底二万里(上) (新潮文庫)』
 著者:ジュール ヴェルヌ
 出版社:新潮社
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