「ダメな人」の7つの特徴

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■成功体験が変化を拒むようになる

入社時には、自他ともに認めるホープとして華々しくスタートダッシュをしたものの、やがて鳴かず飛ばず。颯爽としていた人が落ちこぼれになってしまうケースは、ビジネスの世界では、珍しいことではありません。

私が大学を卒業して入社したのはシェル石油(現・昭和シェル石油)です。1960年代を目前にした当時、石油業界は成長産業で、同期の約30人には東大、一橋大や早慶卒の秀才が揃いました。それが3年ぐらいで1人辞め、もう1、2年の間に、また誰かの姿が見えなくなっていきました。

彼らは理論構成もしっかりしていて、弁も立ちます。当然、自信に溢れていました。しかし、その自信が過信や慢心になると問題です。親しい友人ができず、必要以上に敵をつくってしまいます。さらに慢心が増幅すると、傲慢になり、残念ながら周囲からの諫言も耳に入りません。学ぶことも忘れ、謙虚さを失い、人間関係をこじらせて、檜舞台から消えていきます。

さらに、人は何かをして一度成功すると、その成功体験にしがみついて変化を拒むようになります。しかし、現代は世の中がガタガタと音を立てて動く“大変な時代”といわれます。消費者の嗜好も変わり、技術も進化していきます。そのような中で、「俺はこのやり方でいいんだ。成功したんだ。いまさら何も変える必要はない」と変化を拒否して現状に甘んじていると、そのうち時の流れに取り残されてしまいます。

私はよく講演で「あなたがいまのままでいたら、3年以内に使い物にならなくなりますよ」と話します。自分が変化し成長を続けないと、市場価値が摩耗して、長いビジネス人生を完走するのはむずかしいでしょう。

では、いかにすれば敗者にならずに過ごすことができるのか。私は、自分を磨き、成長するためには、「学ぶ習慣」を身につけることだと考えています。そして、学びに必要な要素は大きく分けて3つあります。第1に座学、第2に師、第3に修羅場です。

まず座学とは、読書をするとか講演会やセミナーに出席して、知識や知見を養うこと。そのメリットは、物事の原理原則や本質を体系的に学べることです。私はよく「1日4度のメシを食え。一度は活字のメシを食え」といいますが、将来、会社の経営陣入りをめざすなら経営学も勉強しておくべきでしょう。この重要度は10割のうち1割と考えてください。

次の師とは、人生の知恵を授けてくれるメンター、その多くは成熟した年長者です。日本経済新聞の「私の履歴書」を読むと、ほとんど1人の例外もなく、若き日にいい恩師や先輩に出会っています。そうした師がいれば、仕事で躓いても、再び立ち上がることができます。ぜひ、そうした人を3人は探すべきです。この師が人生におよぼす影響は2割です。

そして、残る7割を占めるのが修羅場の経験。しかるべき権限と責任を与えられて、乾坤一擲、しかも背水の陣で戦うような場面。これを若いうち、遅くても40代半ばまでに複数、海外勤務を含めて経験すると効果的でしょう。

例えば、最も困難なテリトリーの営業担当や戦略商品の導入の現場責任者、子会社に出向してのマネジメントなどです。海外であれば新拠点のオープンを取り仕切るといった業務です。こうした背伸びをしなければ果たせない役割を完遂することでビジネスパーソンは鍛えられます。

私もずっと順風満帆だったわけではありません。32歳で転職した日本コカ・コーラでは、東京本社の課長から支店の課長に、さらに本社の部長になりながら大阪支店の次長にと、2度の降格人事を味わっています。さらに、シカゴに本社があるアメリカ系消費財メーカーの日本法人社長を解雇されたこともあります。

まさにビジネス人生の危機ですが、あるメンターから「腐ってはいけない。君の経歴と実績は必ず役に立つ」と励まされた。私はメンターの言葉を信じ、それまで以上の努力をしました。結果、半年ほどで、前より処遇のいいポジションにいけたのです。このときほど、日ごろの研鑽と師の大切さ、そして修羅場が人を育てることを実感したことはありません。

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国際ビジネスブレイン社長 新 将命
1936年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなど6社で勤務。3社で社長、1社で副社長を経験。近著に『伝説の外資トップが説く働き方の教科書』がある。

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(国際ビジネスブレイン社長 新 将命 構成=岡村繁雄)