為末 大氏  世界大会において、トラック種目(400メートルハードル)で日本人初となる2つのメダルを獲得した元プロ陸上選手。  (撮影:公文健太郎)

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『採用基準』を刊行したマッキンゼーの元採用マネジャー・伊賀泰代氏と、
元400メートルハードル銅メダリストの為末大氏の連載2回目は、日本人が競争に勝てない理由について、アスリートの分析を行うテレビ番組等、さまざまな角度から分析する。

天才を分析する日本のテレビ、
人種を比較する英国のテレビ

伊賀 為末さんは、ご自身に関しても、スポーツ全体に対しても、凄く分析的ですよね。感覚的なことも含め、思いを言語化するのが上手いというか。他のアスリートの皆さんも、そんなに具体的に語られますか?

為末 いや、そういう人は少ないですね。感じているかもしれないけれど、言語に落とせる人は多くないと思います。

伊賀 世界で勝負されてきた一流のアスリートの考えや、どのように勝負されてきたかについては、多くの人が参考にしたいと思っていますが、なかなかそこが巧く言語化されないので、一般の私たちにはわからないんですよね。

為末 一時期、日本では「天才の分析」っていうのが流行ったんです。今で言うとウサイン・ボルト(男子100メートル走と男子200メートルの世界記録保持者)とか。それって、まったく参考にならないんですよね。

伊賀 筋肉とか骨格って、持って生まれる先天的なものですもんね。それを研究したところで、自分たちの参考にはなりませんよね。物語としては面白いかもしれないけど、「分析」ではない。

為末 そうなんです! ストーリーとして面白がるのが日本人なんです。それよりも、100メートルを9、10秒台で走る人たちのデータを取って彼らの特徴や共通点を見るほうが、「分析」という点では結構参考になるんです。

伊賀 世界のテレビ番組でも、そういった「分析もの」はあるんですか? 

為末 あります。国が違えば見方も異なり、面白いですね。たまたまイギリスと日本を行き来していたときに、当時世界一だった、ジャマイカのアサファ・パウエル選手の体を解析する番組を日本のテレビでやっていました。番組では、パウエルの筋肉がいかに太いかということを語っていて。話はパウエルの生い立ちにまで遡っていました。印象はやはり「ドラマティック」というか。

一方のイギリスでは、時を同じくして、「ケニア人がなぜマラソンで速いのか」ということを、ケニア人とアジア人、白人それぞれ500人のサンプルを取って研究する番組が放送されていたんです。

伊賀 まさに、真逆の方向からの「分析」ですね。

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