7.9インチ液晶のiPadminiはH200×W134.7×D7.2 mmで、片手で持ち続けていても疲れないサイズ感。ちなみにiPhone5はH123.8×W58.6×D7.6mmだ

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昨年9月から発売となったiPhone5が、ソフトバンクとau間で「顧客争奪戦」を激化させている。

iPhone5は、従来モデルより薄くなった一方で液晶画面の大きさはアップ。そして高速データ通信LTEとテザリング(周辺のWi−Fi機器もネット接続できる機能)に対応。2年ぶりのメジャーアップデートだったこともあり、発売当初は品薄状態が続いていたが、今では供給も落ち着き、好きなキャリア、モデルを選択して購入できる状況となっている。

ご存じのように、2008年7月に日本国内でiPhone発売がスタートした当初は、ソフトバンクの独占状態だったが、2011年の4Sからはauも参戦。そして昨年の「5」では、両社同時の販売開始だったこともあり、iPhoneユーザーの争奪戦はさらに燃え上がったのだった。

auは、iPhone5発売のタイミングに合わせ、「男子割」「女子割」をスタート。これは、他社からの乗り換えユーザーを対象に、iPhoneの基本使用料となる月額980円を実質2年間無料にするキャンペーンで、当初は昨年11月末までの予定だったが、「1月末まで延長!」と発表。ソフトバンクの割引キャンペーンが今年の1月末まで続くことをにらんでの決定であることは明らかだ。

また、auは、新規でも機種変更でも、KDDIが持つ固定回線サービスと併用利用することで「auスマートバリュー」も適用となり、これだと月額1480円が割引となる。

対するソフトバンクは、auと同じく、固定回線サービス併用割引である「スマホBB割」(月額1480円割引)のほか、早くからiPhoneを販売してきたため、機種変更需要を見込んだ新キャンペーン「スマホ下取り割」を開始した。これは、既存のiPhoneユーザーが「5」に切り替える際、古いiPhoneを下取りしてもらえるサービスで、例えば、4S64GBモデルなら2万円での下取りとなる。発売から2年以上が経過して機種変更ニーズが高いと思われる「4」の場合は、32GBモデルで1万2000円。ただし、下取りで発生した代金は毎月の利用金額から1000円ずつ割り引いていく形式だ。

また、他社からの乗り換えユーザーには「スマホタダ割」が適用され、基本使用料980円が2年間無料となる。この点はauと一緒なのだが、ソフトバンクの場合は加えて、周辺機器の購入や、機種変更時の端末代金の割引などに使えるソフトバンクポイントを5280ポイント進呈し、auよりお得感を前面に出してきた。

さらにソフトバンクのキャンペーンがおもしろいのは、「スマホタダ割」に、「iPad mini Wi−Fiモデル(16GB)」を事実上、タダでもらえるという選択肢も加えた点である。「そう言っても、毎月の回線使用料はちゃんと取るんでしょ?」と一瞬、疑いたくなるが、あくまでも「Wi−Fiモデル」なので、その心配は不要だ。

このからくりを説明すると、前述の「タダ割」の、「毎月980円の基本使用料×24ヵ月分+5280ポイント=2万8800円分」を、iPad miniの代金に利用するという形なのだが、「月々の割引」ではなく、タダでiPad miniをもらえてしまうので、なんとなく「よりお得」な感じがしてくる。まあ、よく考えれば2万8800円を24ヵ月かけて割り引くという話なのだが、とにかくiPad miniが一台手に入る。

ちなみに、32GBか64GBのiPad mini Wi−Fiモデルや、iPadのRetinaディスプレイモデルが欲しい場合は、その差額分を毎月負担する形となる。

ところで、ソフトバンクもauも、ともにiPadは販売しているのに、なぜソフトバンクだけこんなキャンペーンをできるのか? それはもともとソフトバンクが、セルラーモデル(月額で通信回線使用料を払うことで、どこでも単体でネット接続できるモデル)だけでなく、Wi−Fiモデルも販売しているからだ。そして、iPhone5はテザリングが使えるので、iPhone5が横にあれば、iPadはWi−Fiモデルであっても、まったく問題はない。

7.9インチで片手でも持ちやすく、使いやすさもおしゃれ度もディスプレイの美しさも抜群な、iPad mini。すごく欲しいんだけど、でも正直、“必需品”とも言い難いので……と買うタイミングを逸していた人も多いはずだが、そういう人の背中も押してくれるキャンペーンになりそうだ。

au、ソフトバンクともに同じキャリア内の一定の時間内通話料は無料。回線品質もどちらが上というレベルではなく、使用する場所によりつながりやすさが変わってくるのが現状だ。iPhone5ゲットを考えている人はそのへんも考慮してほしい。

どちらにせよ、キャリア間のユーザー争奪戦が激化することで、ユーザー側も選択肢が増えてきたことは大歓迎。まあ、その分、悩ましくはなるのだけども……。