『Yの悲劇 独裁者が支配する巨大新聞社に未来はあるか』

「清武って奴が悪いんでしょ?」。プロ野球巨人をめぐる「清武の乱」やその後の展開について、あなたが「何となくそう思った」としたら、巨大メディアにコントロールされている可能性があるかもしれない。

圧倒的部数の紙面を駆使した「ネガティブ・キャンペーン」や、「取材」という名目の尾行や挑発、さらには、司法の力で私有の携帯電話まで開示させようと……そんな内幕を当人の清武英利氏が、対談集『Yの悲劇』(講談社)で語っている。

魚住氏と徹底討論「あの新聞社でいま、何が」

対談の相手は、『渡邉恒雄メディアと権力』(講談社)を書いたノンフィクション作家、魚住昭氏。誰よりも巨大メディア「Y」を知る2人が徹底討論したもので、本書の副題は「独裁者が支配する巨大新聞社に未来はあるか」。

清武氏は、元読売新聞記者で、読売巨人軍取締役球団代表、オーナー代行でもあった。巨人のコーチ人事をめぐって、2011年11月に勃発した「清武の乱」は、球団代表だった同氏の解任によって騒ぎが治まるかに見えた。ところが、その後も読売側による執拗な「清武潰し」は今日にいたるまで続いているという。

2012年夏には、週刊文春による原辰徳監督の不倫スキャンダル報道をめぐり、巨人の渡辺恒雄球団会長から「情報源」と名指しされた清武氏が、名誉を傷つけられたとして訴訟を起こしたことも記憶に新しい。

清武氏は本書で、自身が出席したイベントに取材に来た読売新聞記者のエピソードに触れている。イベント主催者側が、裁判で係争中であることを理由に「取材したことを記事以外に使わない」ことの約束を求めたものの、記者は上司と相談後、約束できないとして帰っていったという。「記事以外に使う」つもりだったのか……清武氏は不信感を募らせている。

本書『Yの悲劇』(発売は2012年11月末)は、あの新聞社でいま、何が起こっているのかを2人が詳細に語り合ったものだ。「清武VS読売」。一個人と巨大メディアの戦争の行く末に、今後も注目が集まる。