「聖職者のお仕事」について、牧師さまに聞いてみた!




結婚式ぐらいでしか訪れることのない教会。クリスチャンでない限り、牧師さまにお目にかかることなどめったにありません。結婚式がないときの牧師さまは何をしているの? イベントのないときの教会では、何が行われているの? 教会に対する疑問から、結婚式で起きたハプニングなど、牧師歴22年というベテランのK牧師におうかがいしました。



■牧師さまは普段何をしているの?



――普段のお仕事はどのようなことをしているのですか?



「教会で礼拝などの集会があるときには、説教を行ったり、集まりのないときには勉強や事務作業をしています。また、悩み事などの相談に訪れた方との面談や、手紙、電話への対応もあります。



これ以外にも、教会同士での会合、反原発運動など市民グループの集会にも参加したり、キリスト教学校や施設での聖書講話を頼まれることもあります。メディアへの寄稿や、専門的な本を執筆する牧師もいますね。



私は、午前中に事務的な仕事を行い、午後からは外での仕事、夜は集会への出席、礼拝の準備や勉強を行っています」



――教会の行事にはどんなものがありますか?



「イースター(復活祭)、ペンテコステ(聖霊降臨日)、クリスマス(降誕日)が、三大祝祭日です。これ以外に、私が仕える教会では、新年礼拝に始まり、クリスマス・イヴのキャンドルサービス(燭火礼拝)まで、年間を通して、毎月、礼拝やさまざまな行事があります」



――教会での結婚式や葬式ができるのは、その教会の信徒さんだけですか?



「教会によって対応がかなり違います。開放的な教会では、信者でない方の結婚式や葬式、墓地への埋葬も受け入れています」



■水族館やホスピスでの挙式も



――結婚式での変わった出来事、ハプニングなどはありますか?



「出会った場所で結婚したいというので、水族館のラッコの水槽前で結婚式を執り行ったことがあります。結婚式当日に新郎が失跡し、式が中止になったこともありました。



また、私の司式で2回の結婚式を挙げた新婦もいます。最初の人とは離婚したのですが、同じ女性の式を執り行う気持ちは複雑です(笑)。結婚式を挙げた教会で離婚式まで行ったカップルもいましたし……。



切なかったのは、ホスピスに入院中のお母さまの死期が近く、医師、看護婦、入院者に協力してもらい、ホスピス内で執り行った結婚式です。



また、結婚後しばらくして、結婚前からの不倫について打ち明けられたこともあります。同じように結婚した相手とうまく関われないので、離婚すべきかどうかを相談されて、何度も話し合いの場をもったことも。



多くの場合、喜びに満ちた結婚ですが、時に胸が痛くなるような人間模様に接することがあります」



――教会の収入源と牧師さんのお給料について教えてください。



「教会の収入源の基本は、信徒からの献金です。月定献金という毎月定額でささげられるものと、礼拝献金、イースター、夏期、クリスマスの献金、感謝献金などがあります。幼稚園や駐車場といった付随施設から収入を得ている教会もあります。



牧師の給与は、謝儀と言い、教会から受け取ります。牧師によっては、付随事業からの収入(園長給など)や、講演、原稿料などのアルバイト収入がある人も。



平日は一般の仕事をして土日だけ教会に仕える人もいます」



――結婚式は収入源として大きいですか?



「キリスト教での結婚式が多かったころは、大きな収入源でした。現在でも一部の教会や、式場と連携している牧師にとっては収入源でしょうが、かつてのようなことはないと思います」



■意外と知らないキリスト教の基本



――実際に、教会で懺悔をする人はいるのでしょうか?



「カトリックとプロテスタントを混同されているようですね。懺悔はカトリック教会で位置づけられているものです。カトリック教会においては、現在でも告解室という密室で懺悔が行われています。



プロテスタントの伝統の中には、懺悔というものはありません。せいぜいあるのは相談です。ちなみに、カトリック教会での教職を神父や司祭と呼びます。プロテスタント教会では、聖公会やルター派などの一部で司祭と呼ぶこともありますが、基本的には牧師。私はプロテスタント教会の牧師です。



カトリック教会の教職になれるのは男性だけで、妻帯が許されていません。プロテスタント教会は、教派によって男女ともに教職になれるところもあります。男性に限っているところもありますが、基本的には家庭を持つことが可能です。



また、最近のプロテスタント教会では、同性愛者であることを表明して牧師になる人もいます」



――牧師になってよかったと感じるのはどんなときですか?



「建前としては、神の召命を受けて牧師として立てられていますので、よかったとだけ感じる毎日で、感謝のみです。



本音としては、自分のかかわった人々が、困難や病気などマイナスの事柄を、神に出会い、聖書の言葉によって乗り越えていく姿を目にするときは牧師冥利に尽きます」



すてきなお話をありがとうございました。



(OFFICE-SANGA 布施裕子)