メンズモデルでしたけどなにか? 意外と知らない世界の裏側




メンズモデルにどんなイメージをお持ちですか? 俳優の阿部寛さんや竹野内豊さんもモデル出身。バラエティー番組で人気の現役モデルもいます。ただ、彼らに求められるのは、役者としての演技やキャラを生かしたトーク。そこからモデルの世界は見えません。日本人離れした容姿の黒岩圭一さんは、Oプロモーション所属の元メンズモデル。黒岩さんにメンズモデルの生活をお聞きしました。



■美意識が高いメンズモデル



――モデル時代の主な仕事はどんなことでしょうか?



「ショーがメインでした。でも、ショーといってもピンキリ。コレクションからヘアショー、ユニフォームのショーまでいろいろです。



もちろん、ショー以外に何もやらないわけではなく、スポットでメンズ雑誌やCMをやったり、なんでもアリでした」



――女性モデルは美容やスタイル維持に余念がありませんが、男性モデルも同じですか?



「最初に所属したのが大手の芸能プロダクションだったので、ウォーキングやポージングのレッスンがありました。肌の手入れは、クリニークのせっけんやスクラブで角質落としをしていたぐらい。スタイル維持も特にやらなかった。だから、あまり売れなかったのかも。



あるトップモデルは、Hのときも体位を気にしていたそうです。でも、その方ゲイでしたけどね(笑)」



――一般男性はクリニークのせっけんも使わないし、角質も落とさないと思うので、やはり美意識が高いですね。ゲイの話が出たところで、その容姿だと男性に口説かれませんか?



「幸か不幸か、僕はありません。彼らいわく『その気はわかる』そうです」







■気になるぞ、モデルの収入



――事務所に所属するモデルのギャラって給料ですか? それとも案件ごと?



「ギャラは1本いくらです。額は媒体とモデルのレベルによっても違います」



――一番ギャラが高かったお仕事と一番安かったお仕事について教えてください。



「安いか、高いかの基準は微妙です。例えば、1日拘束で10万円と半日拘束で5万円ではどっちが高い? とか。

一番高かったのは某CMで、時給が15万円でした。天気の条件などで待ちがあり、拘束時間も長かったので、当然、1時間では終わりませんでしたが、このときはあっという間に感じました。



安いのは、雑誌やテレビ。でも、安ければやらない、イヤならやらないという選択肢もあり。所属モデルでも、自分からNG出したり、事務所がNG出したりはできます。



僕の場合、ダイエーの広告はNGにしていました。実家の近くにダイエーがあったから」



■不法入国者と間違われたメンズモデル



――モデルの収入だけで生活できましたか?



「年収はそれなりの額になりますが、ギャラが振り込まれるのは3カ月後。キャッシュフローが心もとないこともあり、アルバイトはしていました。宅配便の配送、交通量調査員、イベントの誘導とか、モデルとはおよそ程遠いアルバイトもやりましたよ。



パリやミラノコレクションに出ていたトップモデルの友人は、日本で窓清掃のバイトをして、海外のショーで稼ぐ生活。ある日、彼がビルの屋上で準備をしていたら、向かいのビルから警察に通報されたんです。



『屋上に怪しげな外国人が不法侵入してる』って。



その彼、顔立ちが平井堅並みに彫りが深かったんです」



――バブリーだなと思った仕事はありますか?



「横浜大さん橋から出航する、ロイヤルウイング貸し切りで開催された出版パーティーのショーは豪華でした。当時、ウォーターフロントはトレンドスポットだったし、クルーザー貸し切りのショーにはクラス感がありました」



――ちょっと納得いかない変な仕事とか、危ない仕事の経験はありますか?



「危ないということはないですが、手のお仕事、手タレをしたことがあります。手タレのプロは日常的に手袋をしたり、お手入れが入念なので感心しました」



――モデルをしていて、メリットはありましたか?



「当時、盛り場では入れ食いだったとか(笑)。



洋服は、事務所にセールの案内が届き、定価の3割程度で購入できました。仕事を通じて、アパレル関係者と知り合いになることも多く、定価の1割程度で買えたり、時には『まとめていくら』なんてことも」







――モデルを辞めた後、美し過ぎるビジュアルが邪魔をすることはありますか?



「身長があり、目力も強いので、『威圧感がある』とよく言われますが、怖いと言われているようで少し複雑。



それと、日本サイズの洋服は袖丈が短い。ピッタリ合うサイズがないことには困っています」



――今でも時々出てしまうモデル時代の習慣はありますか?



「ここぞというときには、ウォーキングスタイルで闊歩(かっぽ)します!」



端正なルックスに人生を重ねた魅力が加味された黒岩さん、モデルウォークで街を闊歩したら、かなり目立ちますね。



ちなみに彼は独身。……ということは、まさか?







黒岩圭一

大学中退後、オスカープロモーションを経てADAMSへ。同期に俳優の沢村一樹。理容界のカリスマ・本田誠一、本間義和専属モデル。多数のアパレルブランドのショーや、マスターカード、JR九州、SQUARE等のCMに出演。現在は普通のビジネスマン。



(OFFICE-SANGA 布施裕子)