(※上記データは過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。

)米国の政府・議会の「財政の崖」への対応大型減税の失効と歳出の強制削減が重なる、米国の「財政の崖」については、2012年末までに、富裕層を除いた上で減税を延長すること(富裕層の増税)と、ほぼすべての歳出削減をひとまず延期することで合意に至りました。

そして、この1-3月期には、歳出削減の詳細が改めて詰められることになっており、”崖”は”坂”へと変わる見通しです。

なお、こうした過程で、協議が難航したり、格付会社が米国の格付に関して厳しい見解を表明するなどして、市場が短期的に動揺する場面も想定されるものの、実際に格下げされることはなく、最終的には、市場も政府・議会の妥協を肯定的に捉えるとみています。

欧州の政府債務問題欧州の政府債務問題については、ギリシャのユーロ圏離脱のような事態は想定していません。

また、スペインについては、ECB(欧州中央銀行)による同国国債の買い入れを可能にする、EU(欧州連合)のプログラムを受け入れるとみられるものの、全面的な救済を要請するようなことにはならないと考えています。

また、2月下旬に総選挙が実施されるイタリアについては、政治的混乱が高まるような場合、多少の懸念が生じる可能性はあるものの、モンティ首相が再任されるか、同氏が導入した財政健全化策のほとんどが新政権に継続されることにより、事態は落ち着くとみています。

つまり、南欧諸国は、苦労しながらも大きな危機を回避すると見込まれ、今後は財政統合へ向けた長い道のりを進むことになるとみられます。

なお、ドイツでも9月頃に総選挙が予定されています。

欧州政府債務問題への対応において、支援負担の増加などを懸念する同国の慎重姿勢がこれまで目立っていましたが、選挙終了後に同国の姿勢が変わるかどうかが注目されます。

なお、ユーロ圏は依然として脆弱な状態にあるものの、最悪期を脱した感があります。

そして、それが明らかになるに連れて、投資先を探している内外投資家の関心が集まる可能性があります。

日本の経済再生への取り組み昨年12月の総選挙での圧勝を経て誕生した安倍新政権は、経済再生を最重要課題の1つに掲げ、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢で結果を出すとしています。

既に昨年末にかけて、日銀が大胆な金融政策に舵を切るとの観測などから円安が進み、これを好感して株価が大きく上昇しています。

日銀は、今月21〜22日に開く、今年最初の金融政策決定会合で、物価安定の目途の見直しを検討するなど、今後、政府の方針に応えていくものとみられます。

財政面では、10兆円規模の補正予算を1月に編成するのを手始めに、切れ目の無い財政運営を行なう方針が示されています。

ただし、費用対効果や財政再建などを考慮せず、バラマキ型の公共事業がただ膨らむだけであれば、むしろ厳しい財政事情に注目が集まることになる可能性もあります。

成長戦略は、少子高齢化・人口減少という日本の構造問題への対応という点で、3本の矢の中でも特に重要と考えられます。

政府は、企業の国際競争力の向上や技術革新を後押しするための成長戦略を6月までに策定する予定ですが、あわせて注目されるのが、党内や、自民党支持層の中に異論も多い、TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加を決断するかどうかです。

TPPへの参加は、新エネルギー革命をきっかけとする米国の隆盛や、アジアの成長などからの恩恵の享受を通じて、日本にグローバル化の果実をもたらすと考えられており、産業界などが強く支持している一方、競争力の弱い農業分野などでは、参加により一層不利になるとして、関係団体などが強く反対しています。

夏の参議院議員選挙でも勝利して、”ねじれ議会”の解消をめざす自民党としては、TPP反対層からの支持をつなぎとめるために、同選挙前に交渉参加を決断するのは難しいとみられています。

ところが、TPP交渉参加国は今年中の妥結をめざしており、日本がTPPのルール作りに関わるためには、一刻も早い参加表明が必要となっています。

こうした難問だけに、TPPへの対応は、安倍首相の決断力や指導力、政権の実行力を示す良い機会になると考えられます。

短期間での首相交代が相次ぐなど、機能不全状態だった政治に変化が見られ、政策が結果につながるとの期待が醸成されれば、日本に対する内外投資家の見方が大きく変化すると考えられます。

(※上記は予想であり、将来を約束するものではありません。

)(2013年1月4日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、国内外での大きなイベント発生時の臨時レポート「フォローアップ・メモ」からの転載です。

→「フォローアップ・メモ」