J-REIT(不動産投資信託、以下、Jリート)市場が日本銀行による買い取りも後押しして堅調だ。その背景と今後の展望をJリートに詳しいアイビー総研の関大介氏が解説する。

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 2012年の夏以降、上昇気流に乗って堅調な推移をみせているのがJリート市場だ。夏前まではJリート市場でも株式市場同様に「上がったと思ったら下がる」という相場が続いていたが、これは欧州債務危機によるリスクオフ(リスク回避)の売りが出たことが要因だった。

 さすがに世界的なリスク回避の動きが強まると、Jリートもその影響で売られてしまう。Jリート市場も株式市場ほどではないが、外国人の売買比率は約4割〜5割と高く、外国人投資家が売りの姿勢を強めてしまうと抗しきれないという弱い部分があるのだ。

 しかし、株式市場は夏以降も「上げたら下げる」という状態にあるのに対し、東証REIT指数は7月以降、順調な値上がりを続けている。現在、日本の株式市場が低迷している最大の要因は、海外収益が低迷する日本企業の業績悪化を懸念する海外投資家らによる売りである。すなわち、投資資金が市場全体から引き揚げられるリスク回避の動きではなく、あくまでも個別のリスクを投資家として判断しているに過ぎない。

 一方、Jリートの業績に目を向けると、過去2年の分配金の水準はほとんど変わっていない。加えて、2012年は4月、6月、11月には新規の銘柄が上場、さらに12月にも新規上場が予定されており、Jリート市場は活況を呈しているといってよいだろう。

 アメリカのリート市場は、リーマン・ショック前の高値をすでに抜けてしまっている。海外の投資家の目には、Jリート市場は他国と比べて出遅れ感が強いと映っており、外国人投資家によるJリート物色の動きは今後も続くだろう。日銀による金融緩和策としてのJリート買い取りも市場の活性化を後押ししている。

 ただ、そうはいっても、このまま1本調子で相場が上げていくのは難しいと私も市場関係者も考えている。欧州債務危機の再燃によるリスク回避の売りがあれば、また下落する局面はあると思う。2013年のJリート市場は、欧州の債務問題が常にリスク要因としてつきまとうと考えて投資しなければいけないだろう。今夏以降、相場が順調に上昇しているため、利益確定の売りが膨らみかねない点にも注意したい。

 しかし、逆に考えれば、そうした下げ局面は銘柄によっては絶好の買い場になるともいえる。いずれも、Jリート市場自体の要因ではなく、投資する価値はないと判断されての売りではないので、一時的な急落に直面しても悲観的にならなくてよいだろう。

※マネーポスト2013年新春号