映画の邦題は変えられちゃうのだ




集客をよくするために、パッとしない原題を捨てて、扇情的なムチャな邦題を付けることが「よし!」とされた時代がありました。『ゾンバイオ』『サンゲリア』『カランバ』『サンタリア』に『サランドラ』。みなさんは原題を知っていますか(笑)?





●『Mr.BOO!ミスター・ブー』



1979年に日本で公開され、大ヒットしたホイ兄弟主演の香港産コメディー映画です。しがない探偵事務所にまき起こるドタバタ騒動を描きます。原題は『半斤八両』(どっちもどっちという意味)。英語タイトルは『The Private Eyes』(私立探偵という意味)。



そうなんです。「ミスター・ブーって何?」なのです(笑)。マイケル・ホイの日本語吹き替えを担当したのは、アドリブの天才・広川太一郎先生でした!



●『Mr.BOO!インベーダー作戦』



1作目がヒットしたので、公開されたシリーズの第2弾。原題は『売身契』(意味は身売り契約!?)。英語タイトルは『THE CONTRACT』(契約書という意味)。売れないタレントが、他社へ移籍するためにテレビ局との契約書を破棄しようと七転八倒するコメディー映画です。



そうなんです。「ミスター・ブーって何?」な上に「インベーダー作戦」っていうのは何だか意味不明なんです(笑)。もちろん第1作とのつながりは何もありません。出演者は同じホイ兄弟ですが。



●『ゾンバイオ/死霊のしたたり』



自分の首を手に持って歩き回る「首なし死体」が登場する、1987年公開のホラー映画。死体の蘇生(そせい)薬を開発してしまった学生のお話です。原題は『RE-ANIMATOR』。animatorが「生気を与える者」という意味ですから、Reを付けて「再度、生気を与える者⇒死者を復活させる者」という意味です。



実は、この映画はH・P・ラブクラフトの『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』という小説を元に作られています。この小説のタイトルが『Herbert West - Reanimator』なのです。ゾンバイオは雰囲気のタイトルですね。



●『サンゲリア』



日本では1980年に公開された、ルチオ・フルチ監督のホラー映画。残酷描写が細部まで徹底しており、マニアの評価の高い作品です。原題は『ZOMBIE』(意味はゾンビ)。サンゲリアという物は出てきません。怖い感じは出ていますけれども。



●『病院狂時代』



1982年に公開されたアメリカ映画。病院を舞台にしたドタバタコメディーです。原題は『Young Doctors in Love』。恋する若い医者ども、ぐらいの感じでしょうか。チャップリンに『殺人狂時代』という邦題の映画がありますが、あの線狙いだったのかもしれません。



●『カランバ』

残酷描写が売りになる時代がありました。これは『グレートハンティング』『グレートハンティング2』に続く、マリオ・モッラ監督の3部作の最終作で、1983年に公開されました。



ヒマラヤの鳥葬など、世界各地から集めた残酷シーンを集めた映画です。原題はイタリア語で『Dolce e selvaggio』、英語タイトルは『Sweet and Savage』。直訳すると「甘さと野生」です。例によって「カランバ」は何だかよくわかりません。強そうな感じはしますけれども(笑)。



●『サンタリア・魔界怨霊』

1987年のホラー映画です。ニューヨークを舞台に頻発する少年の惨殺事件。これを捜査する刑事が、恐ろしい邪教集団に行きあたるという話です。例によって邦題の「サンタリア」は雰囲気です(笑)。原題は『THE BELIEVERS』。信者、狂信者ぐらいの意味ですかね。



●『ランボー』

1982年に公開されて世界的に大ヒットした、シルベスター・スタローンの代表作ですが……実はこの原題も違うのです。もともとは『First Blood』というタイトルだったのですが、配給元の東宝東和さんが『ランボー』と改題(笑)。



アメリカでも「いい!」となって以降のシリーズは『RAMBO』になり、すっかり定着しました。「乱暴」だったわけです(笑)。スタローンはこの改題に感謝状を贈ったとのことです。



●『サランドラ』

出た! ジョギリショック! これでわかる人はB級ホラー映画のファンです(笑)。原題は『THE HILLS HAVE EYES』。邦題の「サランドラ」には意味がありません(笑)。雰囲気です。



この映画が日本で公開された時のキャッチコピーは「全米38州で上映禁止! いま恐怖の頂点を極めて戦慄のジョギリ・ショックがやってくる!」でした。「ジョギリ」という巨大なギザギザの刃物が登場する、という触れ込みだったのです。



ところが……38州で上映禁止になった事実はなく、宣伝に大々的に描かれていたジョギリも本編には出ませんでした(笑)。1977年にアメリカで公開された映画を、「1984年にどうやって日本で話題にして公開するか」を考えた東宝東和宣伝部さんの「手管」だったのです。今では決してできないでしょうね。



いかがでしたでしょうか。全部ご存じの人は映画通だと思います。B級映画ばっかりですけどね(笑)。







(高橋モータース@dcp)



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