『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』テレビ朝日

 『高校入試』『Piece』が年末に最終回を迎え、視聴率が出揃った10月クールの連ドラ。

 いささか地味なメンツが揃ってしまった印象の前クールでは、『連続テレビ小説 梅ちゃん先生』(NHK)の独走状態となったが、今期の結果やいかに? ランキング形式で振り返っていきたい。


■ラブホが登場する連続テレビ小説に「家族で見れない!」

 まず、平均視聴率のトップ10は以下の通り(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。

1位『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)19.1%
2位『連続テレビ小説 純と愛』(NHK、〜12月15日放送分)18.2%
3位『PRICELESS〜あるわけねぇだろ、んなもん!〜』(フジテレビ系)17.7%
4位『相棒 season11』(テレビ朝日系、〜12月19日放送分)16.5%
5位『MONSTERS』(TBS系)11.9%
6位『結婚しない』(フジテレビ系)11.8%
7位『悪夢ちゃん』(日本テレビ系)11.5%
8位『匿名探偵』(テレビ朝日系)10.5%
9位『TOKYOエアポート〜東京空港管制保安部〜』(フジテレビ系)10.2%
10位『捜査地図の女』(テレビ朝日系)10.1%

 トップは、『ハケンの品格』(日本テレビ系)の中園ミホが脚本を手掛けた、米倉涼子主演『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』。最終回は平均視聴率24.4%、瞬間最高視聴率29.8%をたたき出した。

 制作者サイドもここまでのヒットは予想外であったことを明かしており、ドラマ批評家たちもこぞってヒットの理由を分析。「フリーランスの女医は、現代のノマドブームにハマッた」などと様々な理由を挙げているが、何より米倉がハマリ役であったことが最大の理由ではないだろうか。

 だが、満足感の高い視聴者が多い中で「打ち切りみたいな最終回だった」などと最終回に不満を漏らす視聴者も多い。要素も伏線も厚めな作品なだけに、全8話に詰め込むのは窮屈だったのかもしれない。

 2位は、『家政婦のミタ』(日本テレビ系)などヒットを仕掛けてきた遊川和彦氏が脚本を手掛ける『連続テレビ小説 純と愛』。スタート当初、嘔吐物を処理するシーンや、子供がうんこを漏らすシーンに「朝食の時間帯なのに……」と不快感を訴える視聴者が続出。ヒロイン(夏菜)の性格に対しても、「元気をもらえる」という視聴者がいる一方で、「自己主張の強さが朝からうっとうしい」という意見も多く、相変わらずヒロインへの風当たりは強い。

 さらに12月の放送でラブホテルのシーンが登場し「子供が冬休みなのに、家族で見れない!」と親たちが嘆くなど、日本の平和な朝において物議を醸し続けている。しかし、制作者サイドの「連続テレビ小説に一石を投じたい」というもくろみが功を奏しているのか、視聴率は地味ながら安定している印象。3月の最終回までに20%を超えることはできるか!?

■キムタクの「サンタはいない」発言に、全国の親たちから非難殺到

 3位は、木村拓哉がホームレスを演じた月9『PRICELESS〜あるわけねぇだろ、んなもん!〜』。初回からダンボールで寝るキムタクや、風呂に入れず異臭を放つキムタクなど見どころも多かったが、脚本や演出、キャスティングに関しても素直に「面白い!」という意見が圧倒的で、「キムタク史上、最高傑作」との声も上がるほど。これまで「何を演じてもキムタク」などと揶揄されてきた彼が、40歳を迎え、この作品で一皮剥けたと言えるかもしれない。

 しかし、クリスマス・イブに放送された最終回で、ある問題が発生。キムタクと藤木直人演じる兄弟が語り合うシーンにて、「サンタっていつまで信じてましたか? 俺は生活厳しかったんで小3の時かな。母親が『いないよ』って」と話すキムタクに、藤木が「私は小学校6年生まで信じてた」と返すと、「まじっすか!?」と驚くキムタク……。

 この後、世の親たちから非難が殺到。「子供だって見てるのに、フジテレビはこの脚本を見逃したのか!」「まさかキムタクの口から聞かされるとは……子供がショック受けてます」「しょうがないから息子に『SMAPは嘘つきだ』と教えた」など、突然降り注いだ爆弾に大慌てだったようだ。もしや、これもタイトルになぞった「サンタなんて、いるわけねぇだろ、んなもん!」というメッセージだろうか!?

 5位は、選挙特番が原因で急遽、予定より少ない全8話で終了してしまった、香取慎吾・山下智久主演の刑事ドラマ『MONSTERS』。都市での巨大看板や、セブン-イレブンとの大々的なタイアップなど、TBSの同クールの中でダントツに宣伝費をかけたと噂されている同作。だが、数字はもちろん、「香取、山下のキャラがスベッてる」「謎解きが薄っぺらすぎる」といった悪評を集めるなど、宣伝に見合った功績は残せなかったようだ。

 また1年にわたり低視聴率ばかりが報じられてきた『NHK大河ドラマ 平清盛』(NHK)はというと、10月以降の放送分の平均視聴率は9.5%(全50話の平均は12.0%)と、他局の秋ドラマにことごとく敗北。全話の最高視聴率は第2回の17.8%、最低は11月18日放送分の7.3%と、特に後半で苦戦を強いられた。

 しかし1年間見続けた視聴者や、大河ドラマファンの間での評価は意外にも高く、離れていったのは「平清盛」という馴染みある響きと、内容のコアさのギャップに苦戦したライトユーザーであったと言えるかもしれない。ともあれ、最初の方で張られた伏線が後半でようやく回収されたりと、1年をかけてじっくり見るべき作品であったことは間違いないようだ。

■克典パワー or エロパワー!? 『匿名探偵』が大健闘

 8位の高橋克典主演『匿名探偵』は、23時台にして、数々のプライムタイムのドラマを抜き去り10%超えを達成。成功の要因は高橋の人気なのか、それとも毎話ねじ込むように登場するエロシーンのおかげなのか定かでないが、サブキャストの無名さやドラマ全体の雰囲気から、おそらく結構な低予算で制作していることがうかがえるだけに、『ドクターX』に続く「実質2位」としてたたえたい。

 一方、人気監督の是枝裕和が初めてテレビの連ドラを手掛けた『ゴーイング マイ ホーム』(フジテレビ系)は、22時台に阿部寛、山口智子、宮崎あおいといった豪華キャストで攻めるも、7.9%と期待を裏切る結果に。また同じく『告白』の湊かなえにとってテレビドラマ初執筆となった長澤まさみ主演『高校入試』(フジテレビ系)も、湊節全開で挑むも4%〜8%台をさまよい、今一歩の結果となった。

 また、今クール一番の大コケと言われている仲里依紗主演『レジデント〜5人の研修医〜』(TBS系)は、21時台にして一時4%台まで落ち込み、全話平均は6.6%。明らかな敗因は、裏番組にたまたま同じ医療ドラマである『ドクターX』がぶつかったことだが、過去に山下智久主演でヒットした『コード・ブルー−ドクターヘリ緊急救命−』(フジテレビ系)に酷似しているとして、最後まで一部の視聴者から反感を買い続けた作品でもあった。

 ほかにも『相棒 season11』、『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』(テレビ東京系)、『孤独のグルメ season2』(テレビ東京)といったシリーズファン待望の新作をはじめ、小日向文世がかぶるパーティーグッズ感溢れるヅラのせいでコメディーかと思いきや、実は巧妙に練られた壮大なSFが展開し、視聴者の度肝を抜いた『悪夢ちゃん』(日本テレビ系)、バナナマン日村主演で、脚本家・監督・共演者を毎回変えて制作された『イロドリヒムラ』(TBS系)など、誰しもハマる作品は必ずあったであろう10月クール。そして1月クールは、1月8日の仲間由紀恵主演『サキ』(フジテレビ系)、戸田恵梨香主演『書店員ミチルの身の上話』(NHK)からスタート。忘れぬように、今からチェックしよう。
(文=林タモツ)