取材・文・写真: 編集部

(第2回/全4回)「UT」、UNDERCOVERとの「UU」プロジェクトほか、話題のデジタルプロジェクトの仕掛人、ユニクロ松沼礼氏インタビュー

日本国内のみならず海外でも積極的に展開し、日本のアパレルとして初のグローバル・カンパニーを目指すUNIQLO (ユニクロ)。今年9月には、BIC CAMERA (ビックカメラ) と共同で同社がグローバル繁盛店と位置づける新業態「BICQLO (ビックロ) 」を新宿にオープンし、より一層注目を集めている。
そして今年で10周年を迎えるTシャツ・ブランド「UT (ユーティー) 」。同ブランドは2002年にUNIQLOのTシャツ・プロジェクトとして始動し、国内外のアーティストや企業とコラボレーションをした独自性の高いデザインで高い評価を得ている。このUT事業に2004年から携わり、現在同プロジェクトのチームリーダーを務める松沼礼氏に話しをうかがった。彼は話題性のあるデジタルマーケティングの企画や、UNDERCOVER (アンダーカバー) との「UU (ユー ユー) 」プロジェクトの仕掛け人でもある。


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- デジタルで仕掛けるというのは、大きい軸でいうとどのような目的があるのですか?

僕が関わりはじめたのは2010年以降で、『Facebook (フェイスブック) 』をはじめ、『Twitter (ツイッター) 』などと世界中で何億人というユーザーがいるプラットフォームとしてSNSが出現して、個人がメディア化していく時代です。僕がデジタル戦略に関わりはじめたときに思っていた課題のひとつに、「UNIQLOからの情報は、正しく太く魅力的にお客様に伝わっているか?」というのがありました。ブランドの情報が太く、広く、きちんとお客様に伝わっているのかどうか。そして伝えた情報が、UNIQLOを介在せずともお客様同士で伝えあってもらえるようにしていかないと、より多くの人に伝えることができないとも思いました。一方的に企業の方から伝えたい情報を伝えるだけではなくて、お客様にそれをその方自分の言葉で別の方に伝えてもらうことによって、UNIQLOに対する共感や信頼が非常に増すのではないかと思っています。成功事例として、UNIQLOが認知されていない国や地域でも、日常的に使えるツールとして普及した「UNIQLOCK (ユニクロック) 」があります。時計という日常的に必要な機能と、ダンスと音楽という言葉を必要としない表現方法がミックスされいて、「何だこれ?」とおもしろがってってもらってたのでしょう。同時に「これを提供しているのは日本の洋服ブランドらしいぞ」というふうに、UNIQLOに対する興味を喚起できたと思います。

2/2ページ: 「見たくなるような、参加したくなるようなキッカケというのが絶対に必要なので、そこを大事にしないと企画は失敗する」


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- プロジェクトの成功や失敗はどう計っていますか?

「LUCKY LINE」や「UNIQLOOKS」、「Facebook」のチェックインを使った施策にしてもそうですけど、どれだけ参加してくれたかどうかが一つの指標ですね。「LUCKY LINE」については、台湾のオープン時に63万人が並んでくれました。チェックインに関しては、その当時の『Facebook』ユーザーの8人に1人にあたる約20万人がチェックインしてくれました。『Facebook』活用のアジア圏におけるの先進事例として、UNIQLOのことを紹介させて欲しいと言っていただいたりして。逆に人に見られていないというものは失敗だと思います。お客様が見たい動機や参加したい動機というのが明確でないものは、失敗しますよね。要は作り手のエゴでかっこいいものを作っても、見られないということ。見たくなるような、参加したくなるようなキッカケというのが絶対に必要なので、そこを大事にしないと企画は失敗すると思っています。よくある例で言うと、「〇〇の商品を売りましょう」というときに、「とりあえずスペシャル・ウェブサイトでも作ろうよ」みたいなモノです。ただスペシャル・ウェブサイトを作ったところで、お客様にとっての僕たちの玄関はあくまで「uniqlo.com」であって、そここそが企業のブランドを伝える看板でもあり、お店であり当為ことです。お客様は、服を買いに来ているということが前提ですから、お客様にとってその情報というのは本当に必要なものかどうかということが重要です。こちらが必要な情報だと思ってやっていても「そんな情報いらないからすぐに買いたいんだ」と思われたら、それは余計なモノです。やはり見られないですよね。「なぜあのお客様はそれを見たくなるのか」というところを、深くたどって考えていなければ、よいモノにはならないと思います。


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- 「UNIQLO WAKE UP」に関して、商品販売数のような指標はあったりするのですか?

「UNIQLO WAKE UP」はまったく考え方が違いますね。グローバル・ブランディングというか、UNIQLOをグローバルで知っていただくためのコミュニケーション・ツールといった位置づけなので、別に「UNIQLO WAKE UP」によって、直接的に売上をアップしましょうというものではないです。これから僕たちが新規出店していく国において、「UNIQLO? あー、あの『WAKE UP』っていうのを出してたところ?なんかユニークで革新的なところだよね。おもしろそう」というふうに思ってもらうことが狙いです。実際の店舗がオープンする前に、人の期待を高めて行くような、時間と距離を越えた効果があると思うんです。世界中に「UNIQLO」という名前が伝わっていくことが、結果的に商売を大きくすることになると思います。

(第4回/全4回)「UT」、UNDERCOVERとの「UU」プロジェクトほか、話題のデジタルプロジェクトの仕掛人、ユニクロ松沼礼氏インタビュー

Rei Matsunuma松沼礼 (まつぬま れい)
2002年 法政大学 法学部法律学科卒業
2003年 グラフィックを独自に学び、イベントフライヤーデザインなどを手がける
2004年 ユニクロにグラフィックデザイナーとして入社
2007年 UT STORE HARAJUKU.の立ち上げプロジェクトに参画
2007年 ユニクロUTデザインチームリーダー
2008年 ユニクロUT事業チームリーダー
2010年 ユニクロデジタルマーケティングチーム リーダーを兼任
2011年〜 多数のデジタルプロジェクト / UTコンテンツを企画、発表

『UNIQLO』 HP
URL: http://www.uniqlo.com