大学サッカー連盟には、24大学の代表である学生幹事で構成される組織とは別に、大学サッカー後援会という組織がある。いわば大学サッカー連盟のファンクラブを運営する組織である。


 


「私、サッカーやってたんですよ実は。」


大きな瞳がひかる女の子らしい女の子という印象の彼女の口から驚きの発言。


「高校ではボランチかセンターバックやってました。意外ですか?」


彼女は大学4年生にしては少し幼い表情でふふふと笑った。


 



 


大学サッカー後援会代表の前田真帆。


現在会員数が約700名にも及ぶ後援会の組織を束ねる彼女は、大学4年生である。


「会員さんから会費を頂戴をして、サービスの提供をして。その全てを学生が行う組織ですから、やはり責任感と緊張感を持って臨まないといけないですよね。」


自分の大学のサッカー部が所属しているから、という他の学生幹事とは異なる立場にいる大学サッカー後援会の担当学生にとって、原動力はいったいなんなのだろうか。


 


大学1年生から4年生まで各学年4名程度の女子学生で構成されている後援会では、その全員が「大学サッカー後援会で活動したい!」という想いを持って自ら志願し、上級生たちの面接を通過してその一員となる。決して楽とは言えない日々の業務を、学生生活と二束の草鞋でこなす彼女たちのバイタリティには、正直なところ学生幹事も頭が上がらない。


 


後援会の主な業務は、大学サッカー後援会への入会案内、そして会員の方々に年15回発行する会報誌の作成である。「この会報誌が、本当に大変なんですよ・・・。」と語る通り、応援している大学も選手も異なる後援会会員の方々の全員に満足していただく誌面作りはおそらく想像以上に大変なことだろう。


 


「大学サッカーを応援してくださる会員さんと、選手やチームをつなぐパイプ役だと思って仕事に取り組んでいます。」


そんな彼女たちの誌面作りはまず徹底した取材活動からスタートする。関東大学サッカー連盟主催、主管の大会にはそのほぼ全ての会場に出向き、試合内容はもちろん、終了後にはカメラとボイスレコーダーをもってその参加大学の全ての監督や選手に突撃する。試合に勝ったチームの対応はわりと容易だが、負けたチームについては彼女たちもなかなか神経が削れるような想いをすることも多い。「会員さんには大学サッカーファンの方と同時に、大学サッカーのOBの方も多いんです。勝っても負けても、自分の後輩たちの活躍には強い関心があるはず。どんな状況でも会員さんがご満足いただけるために、まず活動の基本としての取材はきちんと行いたいと思っています。」


 


会員の皆さんが何を求め、そして監督や選手たちはその応援にどのように応えているのか。


お互いの想いを届けるために真剣に取材をする彼女たちの目は鋭く輝いている。


 


そして事務所に帰ってきた彼女たちは、取材活動で得た材料を使ってさっそく誌面の組み立てに取り掛かる。代々、この役割は3年生が行うのが風習だ。(1年時は見習い、2年時で会員募集のチラシ作成、3年時に会報誌の誌面作成、4年時はすべての統括 と分担作業が徹底されている)「これはどうですか?って見せると誌面が赤ペンで真っ赤になって返ってくるんですよ。4年生が合格を出してくれるまでに何度もくじけそうになりました。まだだめか、まだだめかって・・・。」


 


各種大会の結果、所属大学の部員インタビュー、趣向を凝らしたプレゼント企画・・・。誰が見ても楽しい充実した内容の誌面は、土日を返上した会場でのインタビューと、担当学生総出で丸々4、5日かかる誌面作りの地道な活動によって作り上げられている。


 


「試合結果には間違いがあってはいけないので最新の注意を図りますね。」


「けれど、それと同時にどこか“サッカーに特化しすぎない”ラフな内容も盛り込むように意識しています。」


彼女たちの運営するtwitterアカウントには、会報誌が会員の方に届くころに会員の方々からたくさんのコメントが届く。


 


そんな中で、“サッカーに特化しない”という点で常に人気のコーナーなのが、「FACE to FACE」である。


関東大学サッカー連盟に所属する24大学の部員数名にクローズアップして、サッカーのことから私生活のことまで、学生らしい表情満載でお届けしているこのコーナーでは、部員たちのピッチでは見ることのできない表情が垣間見れて、読んでいると「これからこの子のこと応援しようかな。」なんて思いになってくる。「会員のみなさんから、よかったよ、面白かったよ、そんな声を聴くことができたとき、本当に嬉しい気持ちになります。」どんなに辛いことも、会員の方々からの一言で忘れられるという彼女の言葉はきっと嘘ではないだろう。



 


大学サッカー連盟の一員でありながら、大学サッカーを常に第三者の目線で見つめ続けてきた彼女に質問してみた。


 


「大学サッカーの魅力はなんですか?」


彼女は慎重に言葉を選んで話し始めた。


「選手一人ひとりの気持ちですかね。」


 


彼女は、関東大学サッカーリーグ戦一部最終節、専修大学対中央大学の試合を思い出していた。


「関東リーグ優勝とインカレ出場を決めていた専大に対して、中大はここで勝たないとインカレの出場権を得られなかった。つまり、中大の4年生にとってはこの試合で引退か、それともまだインカレでこの仲間と一緒に戦う機会を得られるかが決まる重要な一戦だったんです。」


少し前のめりに話す彼女の脳裏にはあの日の光景が色鮮やかによみがえっていたのだろう。


「その試合で、中央大学は2-1で前半戦を折り返していました。そして後半残すところわずかの時間帯、11番の奥山選はこの1点差を守り抜こうと、フォワードの選手にも関わらず最終ラインまで下がってディフェンスをしていたんです。絶対に守り抜くぞ!と声を荒げてチームを鼓舞する彼の姿には本当に胸を打たれました。」


中央大学では今年5名もの4年生がJリーグのクラブへの内定を決めていたが、同じ4年生の奥山選手の名前はその中にはなかった。


「変な言い方ですが、内定をつかんだ5名にはこの先もサッカー人生が続くんですよね。だけれど奥山選手はあの段階でこの試合が最後の一戦になる可能性があった。どんな気持ちでチームを鼓舞していたのかな、仲間たちが奥山選手の声をどんな気持ちで受け止めていたのかな。そんなことを思うと、胸が熱くなりました。そして、大学サッカーの魅力はまさにこの状況にあらわされていると思います。」


 


高校生には卒業後、大学生活という4年間が残されている。けれど大学生にとっては、プロへ進めるか、もしくはサッカー競技人生を終えるか。引退時にはそのどちらかの道しか待ち受けていない。彼らがそれぞれにどんな想いをもってピッチに立っているのか。一つ一つのプレーにどんな覚悟が秘められているのか。そんなことを考えて試合を見ると、一人一人が、そして一瞬一瞬がとても輝いて見えるのだという。


 


 


彼女にとっての最後の仕事は1月6日国立競技場の決勝。例年、後援会担当代表に回ってくる大切な仕事である。


「決勝で会場アナウンスを務めるんです。一言一言を大切に、想いをこめてアナウンスしたいと思います。」


大学サッカーを知り尽くした彼女の、4年間の想いの籠ったアナウンス。会場に足を運んでいただく皆様にはアナウンスの声が耳に届いた時、彼女のことをふっと思い出してみてほしい。その声は、選手たちの、そして一人ひとりの観客のみなさまの心に響き渡り、大会に色鮮やかな華を添えてくれるだろう。


 


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全日本大学サッカー連盟公式コラム【インカレ決勝3万人動員への道】


学連公式コラム-1 1221UP 『I PLAY FOR 大学サッカーの発展」「I PLAY FOR 未来のサッカー選手」・・・


学連公式コラム-2 1224日UP 『誰よりも大学サッカーを愛する男。 [学生幹事大西拓樹


学連公式コラム-3 1228日UP 『未来の大学サッカープレーヤーの為に。 [学生幹事矢島さつき


学連公式コラム-4 1月2UP 『大学サッカーの魅力をたくさんの人に。 [大学サッカー後援会 学生担当 前田真帆]』 


学連公式コラム-5 15UP予定 


学連公式コラム-6 16UP予定 


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【writer】

全日本・関東大学サッカー連盟事務局


【プロフィール】

全日本・関東大学サッカー連盟事務局です。


『インカレ決勝3万人集客』を目標にしています!


インカレ決勝は、1月6日(日)国立競技場にて行われますので、是非皆様会場に起こし下さい!!


HP:http://www.in-colle.com/