本当に景気回復の兆しは見えているのか。三井住友アセットマネジメント理事でチーフエコノミストの宅森昭吉氏が興味深いデータを示した。以下、宅森氏の解説だ。

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 生活から身近なところにあるデータで景気を占う「ジンクス分析」は、偶然とはいえない確率で景気動向や株価と一致するので、決してあなどれない経済指標の1つです。なぜなら、経済活動の主体は一般庶民であり、そのマインドが景気を動かしているからです。
 
 ジンクスの観点からすると、景気回復を示すシグナルがいくつも点灯し始めています。そこで私は、2013年は緩やかに経済が回復する年になると見ています。
 
 たとえば、中央競馬の売り上げ。デフレ経済が深刻だった1998年から2011年までの14年間は連続で前年を下回り続けました。しかし、2012年は久方ぶりにプラスに転じる見込みです。競馬の売り上げが増えるのは国民生活に余裕が生まれている証しだと考えられます。
 
 1998年から一度も3万人を下回ったことのない自殺者数も、2012年は3万人割れが確実視されています。雇用情勢の悪化が大きな要因の1つである自殺者が減ったことは、景気判断のうえではポジティブな材料でしょう。雇用の改善といえば、東京23区のホームレスの数が2012年8月時点で統計開始以来最少になったという現象もあります。
 
 注目すべきは、それらのデータは共通して1997〜1998年以来、約15年ぶりのターニングポイントを迎えたということです。当時は山一證券など大手金融機関が次々と破綻し、連鎖的な企業倒産も相次いだ時期でした。それ以後、日本経済はどん底に追い込まれました。
 
 しかし、前述のジンクスは、日本経済がバブルの後遺症からようやく抜け出すことができるシグナルと捉えられそうです。

※週刊ポスト2013年1月1・11日号