ファミレスと高級ホテルの接客の違いは?




ファミレスと高級ホテルではなぜ「雰囲気」が違うのか。そこには接客の仕方に根本的な違いがあった。覆面取材で、接客の違いを考えてみた。





●典型的なサービスの違い

ファミレスで味わえない「雰囲気」を高級ホテルには期待したいもの。接客の違いはどこにあるだろうか。ファミレスでは、一般に席に案内する時、喫煙・禁煙を尋ね、次に店のにぎわいを演出するため、外から見える席から順に通す。



その際、「こちらでお願いします」、あるいは「こちらへどうぞ」といった言葉を添えるのが一般的。高級ホテルのレストランやコーヒーショップでは、「景色のよい窓側が宜しいですか?それとも、落ち着いたコーナーが宜しいですか?」と尋ねるのが普通。ゲストに選択権を与えるわけだ。



オーダーを置いていく時はどうだろうか。一般的なファミレスとは異なり、高級ホテルのレストランでは、複数のゲストに、間違いなくオーダーしたものを置いていく。その際、念のため小声で「子羊のステーキでございます」、「アンチョビのマリネでございます」といったように添える。



これはキッチンからゲストの席に来るまでに、小さな紙に書いた料理、飲料と座席表を覚えてから来るからだ。ゲストどうしの楽しい会話をストップさせないことが目的とのこと。



●ゲストの目的を支援する

外資系ホテルなどのゲストがコーヒーショップやレストランを利用する目的には大きく2種類あると考えられる。ビジネスユースと、プライベートユースだ。例えばコーヒーショップを商談などで利用する場合、ゲストはほかの席から離れ、静かに話せる席を求める。



プライベートの場合も、カップルであればほぼ同じ。ただし、友人グループなどの場合は、少々はしゃいでもOKな席を望むのではないか。こうしたことを考えて、ゲストの目的にかなう席を提案することが接客の常識。もし目的が異なる場合は、ゲストの意向に沿うように案内する。



例えば、バーなどで灰皿を替えるにも、ゲストが灰皿から目を離しているタイミングを見計らってさっと替えるという。



●同じ高級ホテルでもこんな違いが

高級ホテルの代表といえば「ザ・リッツ・カールトン」であろう。リッツでは、館内のレストランなどの場所を尋ねると、原則、ゲストをそこまでお連れするのがマニュアルに書いてあるルール。しかし、いくら高級ホテルといえども、これを守るのは人件費という大きなコストがかかる。



そのため、某高級ホテルでは、「こちらでございます」と言って、目指す方向へ3歩進むという。そのうちに、ゲストの「いえ、自分で行けます」といった言葉を期待しての発言だそうだ。同じ高級ホテルでもこうした違いがある。



こうしたサービスの違いを比較してみると、面白い発見ができるかもしれない。



(文:深山敏郎/(株)ミヤマコンサルティンググループ/コミュニケーションズ・スペシャリスト)



●著者プロフィール

コミュニケーション改善の請負人として、高級ホテル、外食チェーン、外車ディーラー、IT企業など、20年で延べ4万人あまりを直接指導。夢は、英国でシェイクスピア芝居を英語で上演すること。

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執筆協力:石井公一(いしいきみかず 中小企業診断士)