宇宙天気予報っていったい何だ?






天気予報と言えば、皆さんにもすごく身近なもので、朝晩のニュースなどで欠かさずチェックする人も多いことでしょう。



ところで、実はこの天気予報、地球上(日本や世界)に関するものだけでなく、宇宙に関するものもあるって知っていますか?



そこで、今回はそんな「宇宙天気予報」についてご紹介したいと思います。





■ 宇宙天気予報が知らせるものとは…



「宇宙天気予報」とは、いったい宇宙の何を予報するためのものなのでしょう。



一般的な地球の天気予報が、地球上の天気や気圧・気温・風速などを予測するものであることに対し、宇宙天気予報は太陽風(たいようふう)や磁気嵐(じきあらし)の状況を把握し、それによる影響を予測するものです。



…と言っても、そもそも「太陽風」や「磁気嵐」が何なのかよく分からないですね。



そこで、まずはこの部分からお話したいと思います。



■ 太陽風と磁気嵐



「太陽風」とは文字通り、太陽から吹いてくる風のことです。



ただし、単純に「風」と言っても、そよそよ吹くような優しい感じのものではありません。



太陽表面の一番外側には「コロナ」と呼ばれる温度100万度ほどの大気の層がありますが、そこからは電気と磁気を帯びたガス状の「プラズマ」が、太陽の重力を振り切って、宇宙空間へ飛び出しています。



これを「太陽風」と呼んでおり、地球に届くときの速度は平均で300km〜500km/秒程度、温度も10万度以上というとんでもないものです。



もっとも、幸いなことに地球には磁気圏や大気圏があるため、この太陽風が直接地表まで届くことはありませんが、太陽風によって起こる地球の磁場の乱れを「磁気嵐」と呼んでいます。



■ 宇宙天気予報の具体例



太陽風や磁気嵐について分かったところで、宇宙天気予報の具体的な内容例をご紹介したいと思います。



地球上の一般的な天気予報は、「○○県××地方の明日の天気は晴れ時々くもり。降水確率は10%です…」といった感じですが、宇宙天気予報では次のような感じとなります。



「太陽風速度は低速な300km/s前後から、通常速度の400km/s前後へ緩やかに上昇しましたが、地磁気活動は静穏でした。今後とも地磁気活動は静穏な状態が続くでしょう。」



いかがですか?太陽風や地磁気の概況について予報していることがお分かりいただけるでしょうか。

風速が400km/sで通常というあたり、さすがに宇宙スケールですね。



ちなみに、日本では1988年に「宇宙天気情報センター」と呼ばれる組織が設立され、そこからこのような情報が配信されています。



宇宙天気情報センターの公式サイト(http://swc.nict.go.jp/)では、毎日1回・毎週1回の宇宙天気情報メール配信サービスも提供しています。



誰でも申し込むことができますので、興味のある人は登録してみてはいかがでしょうか。宇宙を身近に感じることができますよ。



■ いったい何に使うの?



ところで、こんな情報がいったい何に利用されているのでしょうか?



近年、私たちの生活は宇宙空間を利用したシステムに多く頼るようになってきています。



地球の天気予報が気象衛星を利用していることは皆さんもご存じだと思いますが、テレビで使う通信衛星や放送衛星、さらにはカーナビで利用しているGPS衛星といった具合です。



このほかにも、航空無線などの長距離無線や国際宇宙ステーションといった専門的なものとも深いかかわりがあります。



磁気嵐の発生によって、これら衛星の故障や無線の通信障害のほか、船外作業を行う宇宙飛行士の健康被害などの恐れがありますが、宇宙天気予報を活用することによって、そのような被害が少しでも軽減されることが期待されています。



■ まとめ



太陽風や磁気嵐の影響を知らせる「宇宙天気予報」の存在については、おそらくほとんどの方が今回初めて知ったのではないかと思います。



GPSのように衛星を利用したシステムなど、今や私たちの生活と宇宙空間とは密接なかかわりがありますので、直接的ではないにしろ、「太陽風」や「磁気嵐」の影響を気にする必要が出てくるかもしれませんね。



(文/TERA)



●著者プロフィール

TERA。小さいころから自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。