すべての発言が「名言」となる人物はいない。力のある言葉だけが歴史に残り引用される。

■宮沢賢治

1896〜1933。故郷の岩手に深く根ざした詩や童話を多数残した。生前に発表した作品は少なく、代表作『銀河鉄道の夜』「雨ニモマケズ」などは遺された草稿だった。

なにが
しあわせか
わからないです。
ほんとうにどんな
つらいことでも、
それがただしいみちを
進む中でのできごとなら
峠の上りも下りも
みんなほんとうの
幸福に近づく
一あしずつです。

『銀河鉄道の夜』(新潮文庫)

■松下幸之助

1894〜1989。パナソニック創業者。会社経営のほか、PHP研究所や松下政経塾の設立など教育にも力を注いだ。68年刊行の『道をひらく』は累計400万部を超える。

この世に
100パーセントの
不幸というものはない。
50パーセントの
不幸はあるけれども、
反面50パーセントの
幸福があるわけだ。
人間はそれに
気がつかな
ければいけない。

『一日一話』(PHP文庫)

悲嘆のなかから、人ははじめて
人生の深さを知り、窮境に立って、
はじめて世間の味わいを
学び取ることができるのである。

『道をひらく』(PHP文庫)

■柳井正

1949〜。「ユニクロ」などを運営するファーストリテイリング創業者。2009年、「2020年に売上高5兆円を目指す」と発表するなど、「安定=停滞」との経営哲学を持つ。

致命的にならない限り
失敗はしてもいい。
やってみないと
わからない。
行動してみる前に
考えても無駄です。
行動して
修正すればいい。

『心に響く名経営者の言葉』(PHP研究所)

■本田宗一郎

1906〜1991。本田技研工業創業者。副社長の藤沢武夫と共に同社を世界企業に育てた。長く技術者として現場にこだわり、社員からは親しみを込めて「オヤジ」と呼ばれ続けた。

貧乏な家に生まれた
からとか、いま貧乏で
学校にも行けないからと
いって、悲観することはない。
貧乏すると、人間の本当の
喜びや悲しみがわかる。

『ざっくばらん』(PHP研究所)

■デール・カーネギー

1888〜1955。『人を動かす』『道は開ける』などの著作で、能力向上や成功のための手段を説いた。一連の著作は、国内だけでも900万部超のベストセラーになっている。

自分のことで卑屈になったり、
引っ込み思案になったり
しがちなのを克服する
最上の方法は、他人に興味を持ち、
他人のことを考えることだ。
気おくれなど嘘のように
消え去ってしまう。

『カーネギー名言集』(創元社)

■永六輔

1933〜。94年に出版した『大往生』は230万部超を記録。親交の深い著名人や市井の人々の生、死にまつわる名言を集めた本で、あとがきには自身への「弔辞」が記された。

がんばってくたびれちゃ
いけません。
くたびれないように
がんばらなきゃ。

『二度目の大往生』での「無名人」の言葉(岩波新書)

■スティーブ・ジョブズ

1955〜2011。アップル創業者。2004年、末期の膵臓ガンと診断されるが奇跡的に快癒。05年、ガン手術の経緯にも触れたスタンフォード大学での講演は多くの共感を呼んだ。

自分もいつかは死ぬ。そのことを
覚えておくことは、何かを失うと
考えてしまう落とし穴を避けるための
私が知る最善の方法である。
あなたはもう丸裸だ。自分の
心のままに行動しない理由はない。

「スタンフォード大学でのスピーチ」(筆者訳)

■稲盛和夫

1932〜。京セラ、KDDI創業者。2010年1月より日本航空会長。「アメーバ経営」など独自の経営哲学を掲げる。著書『生き方』は75万部超など、著作も人気が高い。

不運であろうとも、不遇で
あろうとも、それに耐えて明るく
前向きに努力を続けるのが
人生です。わたしの人生は、
そうすることで
夢が実現していきました。

『君の思いは必ず実現する』(財界研究所)

■野村克也

1935〜。通算試合出場数歴代1位、通算安打、本塁打、打点歴代2位の名選手であり、ヤクルトを通算3度の日本一に導いた名監督。データ重視の「ID野球」を打ち立てた。

つまずきは
絶望ではない。
絶望=死なら、
軽い風邪か、はしかと
いったところだ。
人間、誰しもつまずく。
つまずいて初めて出発
できると考えるべきだ。

『野村の流儀 人生の教えとなる257の言葉』(ぴあ)

上を向いて進め、
下を向いて暮らせ、
過去を思い出して笑え。

『野村の流儀 人生の教えとなる257の言葉』(ぴあ)

(大山くまお=文・選)