中東屈指の世界都市そして、金融センターとして知られるドバイ。しかしそのドバイが、「中東のハリウッド」とも言えるようなエンターテイメントにおいての中心都市でもあることはあまり語られない。

毎年12月に行なわれるドバイ国際映画祭が今年も9〜16日に開催され、そこにはハリウッドのイベント・プランナーも羨ましがるような豪華な面々が集結した。映画祭期間中には、海辺の高級5つ星ホテル、ジュメイラ・ビーチの大スクリーンで上映会が行なわれ、映画見本市なども開催される一大イベントになっている。

成長を続けるアラブ市場の鍵を握るこの地と、ハリウッドの関わりに『Filmmaker』誌のライター、アリストン・アンダーソン(Ariston Anderson)がふれている。そのレポートによると...。

<フリーダ・ピントーと、彼女のドレスをチャリティーオークションで落札した男性>
ドバイを歩いてまわりを見渡すと、そのスケールの大きさに畏敬の念を抱かずにはいられない。この近代都市は、驚異的と言わざるを得ない場所だ。過去40年間にその殆どが構築されただけあって、2020年の万国博覧会を誘致するのにアピールされている主点は、噴水にしろ高層ビルにしろ、何もかも「世界一」大きい・高い物があるということときている。

壮大なスケールと言えば、ドバイ国際映画祭も例外ではない。去年もハリウッドの大物が集結し、トム・クルーズがドバイにある世界一高い高層ビル、ブルジュ・ハリーファの外壁をよじ登るシーンがある『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のプレミアが行なわれた。今年は大作映画に加えてインディーズ系の出品も増え、中東、アフリカ、さらに世界中からの新しい才能が数多く紹介された。

そしてもちろん、とんでもなく豪華でクレイジーなパーティーなしにはドバイは語れない。その一例:オックスファム・インターナショナルの国際慈善プログラム「Dubai Cares」はタンザニアの小学校に清潔な水を供給するプログラムのため、前出の高層ビル、ブルジュ・ハリーファにあるアルマーニ・ホテルで資金集めパーティーを催した。

どんなに豪華な顔ぶれだったかと言うと...助っ人としてルーニー・マーラと(SATCの)クリスティン・デイヴィスが一晩中続いたオークションを手伝い、このパーティー中、コリン・ファースとフリーダ・ピントーは、なんと着ていた服をその場でオークションに寄付して出席者たちを驚かせた。2人がオックスファムのために「脱いだ」衣装は、合わせて50万ドル(約4,200万円)の寄付をもたらしたという。

そして映画祭自体も、著名な作品には事欠かなかった。オープニングを飾ったのはアン・リー監督の3D冒険映画、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(Life of Pi)。他にも、カンヌでパルム・ドールを受賞したミヒャエル・ハネケ監督の『愛、アムール』(Amour)、サーシャ・ガヴァシ監督の『ヒッチコック』(Hitchcock)などが名を連ね、オーストラリアのウェイン・ブレア監督の話題作、アボリジニ・ミュージカル・コメディー映画『The Sapphires』 で祭典は幕を閉じた。

<ドバイでの観客動員数は年々増加している>


2013年、ドバイ国際映画祭は10周年を迎える。アラブ・アフリカ各国の映画とハリウッドを結びつけるこの祭典は、来年も数々の驚きを与えてくれることだろう。