ドキュメンタリー映画『恋と映画とウディ・アレン』がヒットしている、映画監督のウディ・アレン氏。今年は最高傑作と呼び名の高い『ミッドナイト・イン・パリ』も日本で公開され、「ウディ・アレン旋風」が吹き荒れています。

 書籍『ウディ・アレンの漂う電球』は、アレン監督の作品『カイロの紫』と同じニューヨークのブルックリンが舞台になっています。物語はポラック家というひとつの家族を中心に展開。誰もが今の生活に満足しておらず、自分が抱えている問題を、かつて持っていた夢や今現在観ている夢に逃げこんでいる様子が、コミカルに描かれています。

 若い頃はダンサーになるのが夢でしたが、今は崩壊寸前の家族の中奔走するキッチンドランカーの母親、見栄っ張りで賭け事ばかりして、女性にもだらしない甲斐性無しの父親、どもりで人と話すのが苦手、大好きな手品の世界に逃げ込む長男、大きいことを言うもののニート予備軍な反抗期真っ盛りの次男。

 映画『スクープ』のなかで三流マジシャンを演じたアレン監督。本書に出てくる長男ポールも、アレン監督自身をモチーフにしたものであると訳者の鈴木小百合さんはいいます。実際、アレン監督も同映画のインタビューで"子供の頃からマジックに興味を持っていて、大人になっても大好き"と語っており、少年時代のアレン監督の分身であると考えられます。

 ポラック家の面々とは違い映画界で大成功を収めているアレン監督ですが、最新作ドキュメンタリー映画『恋と映画とウディ・アレン』の中で次のような言葉を残しています。

 「こんなにも運が良かったのに、人生の落後者の気分なのはなぜだろう」

 どんなに成功しても不安や不満は絶えないということでしょうか。ですが、そんなアレン監督だからこそ『アニー・ホール』のようなナンセンスでシュールな映画を作ることが出来るのかもしれませんね。今後のご活躍にも期待です。



『ウディ・アレンの漂う電球』
 著者:ウディ アレン
 出版社:白水社
 >>元の記事を見る



■ 関連記事
初夢で「きいろいゾウ=向井理」に会えるかも?
小津安二郎作品と『踊る大捜査線』は似ている?
『ロンドンハーツ』出演者の基準は? 加地プロデューサーが番組作りの裏側を明かす


■配信元
WEB本の雑誌