『減電社会 コミュニティから始めるエネルギー革命』

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自民党の大勝に終わった2012年12月の総選挙。争点のひとつであったはずの「脱原発」は「代替案を示せ」の大合唱の前に埋没し、安倍新政権は原発再稼働に向けて大きく舵を切ったように見える。

だが、長期的にはウランも化石燃料も枯渇する。安全な核燃料サイクルの実現見通しも暗いだろう。私たちの社会が持続可能な発展を維持するためには、いずれにしても現在のエネルギー構造を変えていかなければならない。

環境ジャーナリストの小澤祥司氏は、講談社から12月に刊行した『減電社会 コミュニティから始めるエネルギー革命』で、「原発の代替案は存在する」と断言している。

「熱のムダ」劇的に減らす方法

小澤氏によれば、そもそも、「電気」をエネルギーとして絶対視することが不合理なのだ。大規模発電所では、発生したエネルギーの4割しか電気にできず、残りの熱はただ捨てられるだけだ。

そしてコミュニティレベルで小規模発電、電熱併給のシステムを導入すれば、この「熱のムダ」は劇的に減ることになるという。

出力が不安定と言われる再生可能エネルギーも、発電にこだわらず、バイオマスや太陽光は熱の供給源とし、地域レベルでのエネルギー供給に組み込めば、さらにムダを減らせる。

これは机上の理論ではなく、ドイツ・オーストリア・デンマークなどではすでに実現し、成功を収めている、という。

小澤氏は本書で、再生可能エネルギーを普及させているどころか、化石燃料も(もちろん原子力も)使わずエネルギー自給100パーセントを実現し、雇用も増加させている世界中の実例を紹介している。

冷静なエネルギーの議論のために、「減電」について具体策を知ることが、まず大切だと知らされる書だ。