2012年 アート界の出来事ベスト10

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今年1年、アートの話題で最も印象に残ったものは何だっただろうか?

今年はオリンピックもあり、ロンドンが英国のカルチャーを世界に発信した年だったため、ロンドンで開催されたイベントだけをピックアップことも可能だが、当然ニューヨークで行われた史上最高額の絵画の取引や、中国人アーティストによる「江南スタイル」を改訂版も見逃せない。



以下に悲しいニュースから面白いニュースまでを含む、今年のアートニュースベスト10をピックアップした。


デイヴィッド・ホックニー

今年1月、ロンドンのアートショーはデイヴィッド・ホックニーの「A Bigger Picture」で幕を開けた。ヨークシャー州の田舎で数年かけて制作されたこの作品は、iPadで美しい風景画が描けるという可能性を世界に示し、大きな注目を集めた。
ルシアン・フロイドの肖像画

国立肖像画美術館で開催されたルシアン・フロイドの個展に本人が参加していれば、今年を代表するアートイベントとして注目されていただろう。しかし、企画段階から参加していた本人は昨年亡くなっており、今回の個展は20世紀を代表する英国人画家の素晴らしさと、もう彼の作品が見られない悲しさを再確認するものとなった。
ムンクの代表作が史上最高額で落札

今年5月、世界で最も有名な絵画のひとつが、更に有名になった。エドヴァルド・ムンクの「叫び」がオークションで、1億1990万ドル(約102億円)にて落札され、オークション史上最高額を記録した。世界的に経済不況と言われている現在においては悪くない値段だ。
ロバート・ヒューズ亡くなる

今年8月、世界で最も尊敬され、恐れられていた美術批評家がこの世を去った。辛辣な批評で知られるオーストラリア人美術評論家ロバート・ヒューズ氏が長い闘病生活の後、ニューヨークで亡くなった。1980年のテレビ番組で人気者となった彼は、モダンアートを分かりやすく、ウィットを効かせながら解説/紹介したことで知られていた。
ダミアン・ハースト展覧会

今年4月から9月にかけてテート・モダンを訪れた人数は46万3,087人で、これはダイヤを散りばめた骸骨や、ホルムアルデビドで保存してある動物の死体、そして蝶の絵画などが含まれたダミアン・ハーストの展覧会を目当てに来た人たちがその大半を占めており、この展覧会はテート・モダンにおいて最も大きな成功を収めた個展となった。ちなみにあと4,079人多ければ、マティスとピカソを抑え、テート・モダンにおける最多入場者記録を持つ展覧会となっていた。
ロンドン2012フェスティバル

今夏、ロンドンはオリンピックで盛り上がったが、カルチャーの面でも大いに盛り上がった。ロンドン2012フェスティバルでは、1万3,006組のパ フォー マンスがイギリス国内の1,270会場で繰り広げられ、計1,650万人が訪れた。尚、このフェスティバルで披露されたアート作品のうち、176作品は展 示場所に残されることになった。
マーク・ロスコの絵画が落書きされる

残念なことに2012年のアートシーンはグッドニュースばかりではなかった。10月にテート・モダンを訪れたウラディミール・ウマネッツが自分の名前を マーク・ロスコの絵画に落書きしてしまったのだ。この27歳のポーランド人は事件発覚後すぐに逮捕されたが、本人はこの行動について、「アートでもなく、 アンチアートでもない、ムーブメントだ」と説明している。しかし残念ながら全く意味をなしていない。
艾未未(アイ・ウェイウェイ)の江南スタイル

最新のポップミュージックのビデオをシリアスなアーティストが参考にすることはまず無いだろう。しかし、中国の反体制派アーティスト、艾未未は「江南スタ イル」を使って中国の検閲法に異議を唱えた。かつては世界を代表するパワフルなアーティストの1人と言われた人物が、馬に乗るような「江南スタイル」お馴染みのダンスを繰り広げている姿が確認できる。この作品は、今年を代表する面白いアート作品と言えよう。
資金難のためヘンリー・ムーアの彫刻が競売に

2012年のアートは成功と言えたが、その裏で重たい雲が立ちこめつつあるのも確かである。11月にロンドンのタワーハムレット区は予算削減の影響から運営資金を調達するために、ヘンリー・ムーアの彫刻を売りに出していたことを発表し、英国のキャメロン首相のアートに対する緊縮政策が現実化したとして注目 を浴びた。
エリザベス・プライスがターナー賞を受賞

ターナー賞は毎年発表されるが、今年は大きな注目を集める年となった。排泄物を描いた絵画から、スパルタカスと呼ばれる女性アーティストのパフォーマンスアートなど、様々な作品がノミネートされたが、最終的にビデオアーティストのエリザベス・プライスが見事受賞した。ターナー賞は2011年から「奇妙なモダンアート」のための賞ではなく、「最先端のカッティングエッジなモダンアート」のための賞として評価を高めているため、来年も是非その評価を維持してもらいたい。