【講師】ライター 松岡賢治

1963年生まれ。シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。『@DIME』で連載「マネーtab」を執筆中。

★現在のローン

ほぼ10年前に、狭小住宅の一戸建てのローンを組む。2本立てのローンで、1本は10年固定の3.350%。もう1本は10年固定の3.15%。当時としては、それぞれ最低水準の金利だった。すでに10年固定期間が終了し、2.235%の変動金利に移行済み。現時点でのローン残債は3360万円。25年間の総返済額は4388万6931円となる見込み。この返済額がいくら減るのか⁉(試算の前提条件などは欄外の注釈を参照)

<みずほ銀行>メガバンク中、固定終了後の優遇金利幅が最大

■借り換えた場合の試算

11月になって、10年固定の基準金利はさらに低下し2.95%となって、金利優遇を最大限受けた場合の適用金利は1.35%にまで低下。金利が低い分、保証会社に支払う保証料は高い

■いくら得する?

総返済額では293万8239円の得。※上表の「現状ローンとの差」から借り換え額に上乗せした諸費用100万円を除いた金額

 みずほ銀行は、メガバンクの中で唯一、10年固定の固定期間が終了した後の金利優遇幅が1.6%となっている(他行は1.4%)。11年目以降、変動金利に移行した場合、0.2%有利になるのは非常に大きい。10年後も確実に借り換えができるとは限らないため、ほかの条件が同じなら、なるべく優遇幅が大きいほうを選びたい。

 ただし、誰でも最大限の優遇幅を受けられるわけではないので注意が必要。優遇幅は借りる人の条件によって1.5%か1.6%の2段階に分かれる。営業時間中であれば、都内の支店ならどこでも、特に予約しなくても随時住宅ローンの相談が可能。借り換えを考えている人は、なるべく2行以上で相談してみよう。

<ソニー銀行>全般的に金利が低く、保証料も無料!

■借り換えた場合の試算

『住宅ローン』タイプで試算。適用金利は1.172%と高いように見えるが、保証料は無料となっているため、実質的には、メガバンクの最優遇金利0.875%に近づく。

■いくら得する?

総返済額では424万6735円の得。※上表の「現状ローンとの差」から借り換え額に上乗せした諸費用40万円を除いた金額

 ソニー銀行の住宅ローンは2種類しかなく、シンプルでわかりやすい。今回の試算は『住宅ローン』で、借り入れ期間を通じて基準金利より0.9%の優遇が受けられる。優遇金利の幅は狭く見えるが、独自の基準金利を採用しているため。11

月の基準金利は2.072%と、メガバンクの2.475%よりも低い設定だ。したがって、実際の適用金利はメガバンクと変わらなくなる。5年固定の適用金利は1.081%と変動金利よりも低い。

 ローンのシミュレーションは、サイトや電話ででき、審査などの申し込みもすべて郵送でのやり取りで完結する。忙しい人には利便性が高い。東京駅駅前の八重洲に相談センターがあるので、対面での相談も可能だ。

<住信SBIネット銀行>変動金利では実質的に最低水準

■借り換えた場合の試算

『ネット専用住宅ローン』の試算。0.865%と低いが、融資事務手数料が「融資額×2.1%」かかる。メガバンクと同じ条件なので、最低水準といえる。

■いくら得する?

総返済額では439万8823円の得。※上表の「現状ローンとの差」から借り換え額に上乗せした諸費用100万円を除いた金額

 住信SBIネット銀行の場合、適用される金利は低いが、融資事務手数料が融資額の2.1%となるため、実質的な金利は表示されている金利+0.2%で考えるのが妥当。そのため、変動金利0.865%は実質ベースでは1.065%となる。

 また、金利優遇幅は全期間で1.91%となっているが、基準金利は独自のレートを採用しており、2.775%とメガバンクよりも高いことに注意。

 現在、3年固定で0.75%という5周年キャンペーンを実施中だが、固定期間終了後の優遇幅が1.8%で、変動金利型と比較すると大きな魅力はないと思われる。最後まで変動金利でローンを組むなら、かなり競争力は高いといえる。

<イオン銀行>メガバンクをしのぐ低金利を提供!

■借り換えた場合の試算

10年固定の適用金利はメガバンクをしのぐ1.30%。しかし、固定期間終了後の金利優遇幅は1.2%と小さく、総返済額ではほぼ同じ。10年後に再度借り換えるなら有力となる。

■いくら得する?

総返済額では257万1885円の得。※上表の「現状ローンとの差」から借り換え額に上乗せした諸費用100万円を除いた金額

 あまり知られていないがイオン銀行でも住宅ローンを販売している。しかも10年固定は1.30%と最低水準。ネット銀行と同じく保証料は0円だが、ローン取り扱い手数料(融資事務手数料と同じ)が「融資額×2.1%」かかる。ローン取り扱い手数料は借入金額に上乗せすることが可能。したがって、当初10年間の実質金利は、1.50%程度となり、支払総額はメガバンクよりも得する計算。

 11年目以降は優遇幅が1.20%しかなく、みずほ銀行の1.60%などと比べると不利になる。イオン銀行の支店はイオンの施設内にあり、土日もオープンしているので、相談や仮審査の申し込みを受け付けてくれる。気軽に利用することができそうだ。

※いずれも25年の借り入れ期間中、各行の基準金利が同じと仮定して試算。したがって、変動金利が最も有利になるため、10年固定との差が大きくなっている。ただし、10年固定は11年目からは変動金利に移行すると仮定。また、試算に使ったシミュレーション画面は同一のものを利用。諸費用などは簡略化したため、実際の各行のシミュレーションとは結果が異なる。住宅ローンの諸費用や手数料について『@DIME』の「松岡賢治のマネーtab」でも詳しく解説しているので要チェック!

●ネット系は変動金利、メガバンクは10年固定

 FPの浅井秀一さんが「ネット銀行の金利が低いというのも昔の常識」というとおり、下調べから相談までやって、それを実感した。紹介する4行の金利はいずれも最低水準のローンを有するが、ソニー銀(変動セレクトローン)と住信SBI銀の変動金利は、みずほ銀などのメガバンクをわずかにしのぐ程度だった。一方、10年固定の商品性は、みずほ銀とイオン銀が明らかに上。しかし実際に優遇金利で借りられるかどうかは別。メガバンクやイオン銀では審査結果によっては、適用金利がアップする。ネット銀行は審査が通れば表示どおりの適用金利で借りられるが審査で有利不利が簡単に逆転しそうだ。また、紛らわしいのが、保証料と融資事務手数料の違い。ネット銀行では保証料ゼロが多く、手数料が「融資額×2.1%」のところが多い。非ネット系銀行は、手数料が3万1500円〜で、保証料が高くなる。保証料を金利に0.2%上乗せするのが一般的だ。

 こうした違いもチェックしながら、比較検討されたし!

★結論 やっぱり10年固定金利型が安心かも……

最初、変動金利のシミュレーションを行なって、あまりのお得度に目がくらんでその場で申し込みそうになったが、残りの返済期間が約25年あることを思い出し、考えてみると10年固定に心が傾いた。返済期間が10年以下なら間違いなく変動だが……。

★地方銀行の「お宝ローン」を見逃すな!

地方にも、好条件の住宅ローンを提供している金融機関がある。例えば、京都銀行は、10年固定で1.10%という、メガバンクをも大きく下回る破格のレートを提示している。横浜銀行も10年固定で1.35%となっており、審査次第ではメガバンクよりも低い金利で借りられる人もいるだろう。地方金融機関は、基本的には地域に居住している、もしくは、勤務している人を対象とするが、横浜銀行の場合は、東京23区のうち南部16区も融資の対象となる。さらに、都内に支店がある地方銀行なら、都内に居住・勤務している人でも借りられるケースがある。また、JA(農協)の中には、10年固定で1.0%の金利を提示しているところもあるようだ。「これらの金融機関は担当者の裁量余地が大きく、交渉次第では、最優遇金利からさらに引き下げてくれるところもあります」(前出・浅井秀一さん)。地方在住の方は、一度、ホームページをチェックしてみよう。